有賀歯科医院 ニュースレター No.17

寒さも本格的になってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。

前回のニュースレターでは、骨粗鬆症と、骨粗鬆症の場合に投与される薬と歯科治療との関係についてご紹介しました。
骨粗鬆症は骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気で、男性より女性の患者さんが3倍ほど多くなっています。
男性にとっても無関係ではなく、高齢になると骨の構造が変化して骨折しやすくなることがあります。腸管からのカルシウムの吸収力の低下が原因とも言われています。
今回は骨粗鬆症による骨折の予防の基本となる、食事や運動についてご紹介します。

食事

1.カルシウム・ビタミンD・ビタミンK

骨の健康維持に重要な栄養素として、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKがあげられます。

加齢にともない骨密度は減少しますが、十分な骨密度を保つためには、カルシウムをしっかりと摂取するとともにカルシウムの吸収を促す栄養素を摂取することが大切です。

カルシウムとビタミンDを同時にとることで、腸管でのカルシウムの吸収が良くなります。
すでに骨粗鬆症薬であるビスフォスフォネート製剤などを服用している場合にも、骨の形成を促すために食事療法は大切です。

カルシウムを多く含む食品(骨の材料となる)

牛乳 乳製品 小魚 干しエビ 小松菜 チンゲン菜 大豆製品など

カルシウムを多く含む食品

ビタミンDを多く含む食品(骨代謝をさかんにする)(腸管からのカルシウム吸収促進)

サケ ウナギ サンマ メカジキ カレイ シイタケ キクラゲなど

ビタミンDを多く含む食品

ビタミンKを多く含む食品 (骨の形成を促す)

納豆 ホウレン草 小松菜 ニラ ブロッコリー キャベツなど

ビタミンKを多く含む食品

※ビタミンDは日光に当たることで皮膚で生成されます。夏季は1日30分、冬季は1時間の日光浴が推奨されています。

2.その他の栄養素・食品

骨(特に骨基質の重要な成分であるコラーゲン)の構成成分であるたんぱく質の摂取も大切です。
たんぱく質の摂取量が少ないと骨強度の低下につながりますので、食事量が少なくなりがちな方は気をつけてください。

また、コラーゲンを生成する上で必須な栄養素となるビタミンCを摂るために、果物・野菜の摂取も推奨されています。

たんぱく質(骨の構成成分)

肉 魚 卵 豆 牛乳 乳製品など

肉 魚 卵 豆

ビタミンC(コラーゲン合成のための必須栄養素)

果物  野菜

果物,野菜

3.過剰摂取を避けた方がよい食品

・リンを多く含む食品 (しらす干し・プロセスチーズ・いくらなど)

リンは骨や歯を作る働きを持っていますが、加工食品や食品添加物などに含まれていて、不足することはあまりありません。過剰摂取すると骨からカルシウムが放出され、骨のカルシウム量が減少すると言われています。

・コーヒー、紅茶などのカフェインを多く含む食品・アルコールなど

南天

 

利尿作用によりカルシウム排泄を促進します。

・コーラ、ジュースなどの炭酸飲料

カルシウムが吸収されてしまいます。

運動

運動不足は骨密度を低下させる要因です。
骨にカルシウムを蓄えるためには、「体重をかける」ことが大切。

骨密度の低下防止に特に有効な運動は、ウォーキング・ジョギング・エアロビクスなどです。

日常生活の中でも、階段の上り下りや散歩などを取り入れ、運動量を増やすだけでも効果があります。

特に閉経後の骨量減少・骨粗鬆症の女性のウォーキングによる腰椎・大腿骨骨密度の増加が報告されています。

骨粗鬆症が進行して骨がもろくなると骨折しやすくなります。
特に背骨、手首、足や腕のつけ根の骨が骨折しやすくなり、体を支える力が失われる原因になってしまいます。

足のつけ根付近の骨の骨折はそのほとんどが転倒によるものです。
食事療法、運動、日光浴などを含めた骨粗鬆症予防が転倒・骨折を防ぐことにつながります。

運動による転倒防止効果も報告されています。
バランス訓練(フラミンゴ療法)は、片足で立っている時間を増加させて、転倒の発生を防ぐことがわかっています。

※フラミンゴ療法 : 体を支えながら片足を上げる訓練を片足につき1分、1日に3回行うもの。

骨粗鬆症により骨が弱くなり骨折を起こすと、日常生活の質は著しく低下してしまいます。
骨粗鬆症と骨折の予防の基本となるのは栄養バランスのとれた食事と運動です。
今回の内容をぜひ参考にしていただき、日頃からできる範囲で取り組んでいただければと思います。

参考文献:臨床婦人科産科 2016.Vol70.No11
臨床医のための実験医学シリーズ16 「骨・カルシウム代謝の調節系と骨粗鬆症」

院長から一言雪の結晶

骨粗鬆症というと、どうしても骨密度が高いか低いかということで判定されがちですが、骨の質もとても重要です。

骨が強いかどうかということ(骨強度)は、骨密度と骨質の両方によって決まるからです。

骨密度が高くても骨折してしまう人は、この骨質が劣化している可能性があり、骨質が良ければ多少骨密度が低下しても骨折しにくいと言われています。

骨質で特に大事なのが骨のしなやかさです。
硬い木の枝でもしなやかさがないと強風で折れてしまうことがありますよね。
骨も骨量が多く、ただ硬ければいいというものではないのです。

ですから、この骨質を高めるために、カルシウム、ビタミンD、Kはもちろんのこと、コラーゲン(たんぱく質)
やビタミンCなども積極的に摂取する必要があります。
まずは食事と運動!薬だけでは骨粗鬆症は改善しません。

歯やインプラントも周囲の骨が溶ければ、歯もインプラントもぐらついて噛みにくくなります。
入れ歯の土手となる歯ぐきの下の骨が溶ければ、入れ歯も動いて噛みにくくなります。
骨粗鬆症はあごの骨にも悪影響を与えます。

あなたも今一度、自分の食事や運動を見直してみませんか?

ゆきだるま