『免疫力を上げる③』
前号では、細菌やウイルスを退治してくれる白血球を十分に機能させるために、十分な水分補給をすること、ご飯はお腹が空いたときに食べること、アルカリ性食品を多めに摂るということをお話ししました。
三密の回避、マスクや消毒の徹底、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことによって、感染者が減少傾向にありますが、まだまだ安心はできません。
新型コロナウイルスは、今、この瞬間も変化を続けていますし、これから鳥インフルエンザや新しい感染症がまた流行するかもしれません。
そのたびにワクチンを打つわけにもいきませんし、ワクチンの効果がいつまで続くかもわかりません。
でも「免疫力」が高ければ、新型コロナウイルスはほぼ抑えられます。ウイルスへの最強の対策は、消毒やワクチンではなく「ただ健康であること」です。(これが一番難しいことですが…)
今回は、普段の日常生活でほんの少し心がけるだけで、免疫力を上げる方法についてお話しします。
1⃣からだを温める
人間のからだは36.5℃~37℃の間で一番働くようになっています。
例えば体温が1℃下がると免疫力は30%低下し、基礎代謝も12%低下、がん細胞も繁殖しやすくなるなど悪いことばかりです。
逆に、体温を1℃上げるだけで、免疫力は50~60%高くなります。体温を上げることによって、がん細胞の増殖を抑制することができます。もしあなたが35℃台だったら要注意!
がん細胞が最も好んで繁殖するのは35℃台の低体温ですから、そういう方は体温を上げる努力をしましょう!
では、なぜ体温が高くなると免疫力が上がるのでしょうか?体温が上がると血液の流れがよくなります。血液中の白血球は、免疫機能をつかさどる免疫細胞の要(かなめ)です。
白血球の流れがよくなれば、免疫が自(おの)ずと働きやすくなり、免疫力が上がるというわけです。
だから健康に暮らしていくうえで、体温というのはとても重要なんです。
簡単にからだを温められるものといえば、なんといってもお風呂ですね。
ただ、熱いお湯に首まで浸かってじっくり温まることは、一見からだにいいように見えますが、これは逆効果。42℃以上の熱すぎるお湯に首まで浸かっていると、心臓や血管に負担がかかってしまいます。高血圧の人であれば、血圧が上昇し、心筋梗塞など血管系の病気を招く恐れもある
ため危険なのです。
熱いお湯に浸かっていると、交感神経が優位になり、心身が緊張して逆にからだが疲れてしまいます。さらに汗をかいて体内の水分が放出され、脱水症状を起こすこともあります。
また、シャワーだけですませる場合、浴びた直後は温まった気がしても、結果的にからだが冷えるだけで効果はほとんどありません。
からだにいいお風呂の入り方は、40℃程度のお湯に10分ぐらい浸かる(体温が1℃上がります)のが適正とされています。
さらに「入浴剤」を活用することで、入浴効果を高めて免疫力をアップすることができます。
入浴剤を入れたお風呂は、普通のお湯に比べて温浴効果が高く、お風呂から出たあともしばらくはからだがポカポカして湯ざめしにくくなります。
特に炭酸ガス入りの入浴剤はさらに温浴効果が高くなっています。血中に取り込まれた炭酸ガスが血管を拡げ、血流量を増加。お風呂で温められた血液が全身をめぐることで、からだの隅々までしっかり温めてくれるので、ちょっと疲れがたまっているなと感じたときは、炭酸ガス入りの入浴剤を試してみてはいかがでしょうか!
それから、体を冷やすような飲食物はなるべく摂らないようにして、からだを温めてくれるものを摂りましょう!
「冷えは万病のもと」です!
最近は、新型コロナウイルスの影響で体温を測ることが増えましたが、日常的に測定することも大事です。知らない間に体温が下がり、免疫力が低下していたなんてことは少なくないのですから!
2⃣噛めば噛むほど免疫力が上がる―早食いはデメリットばかり!
とにかく現代は早く食事を済ませなければならないことが多くあります。
しかし免疫力の面でみると、早食いにはいいことがまったくなく、デメリットしかありません。食べ物をよく噛まずに食べると、肥満や糖尿病になる危険が増して免疫力は低下していくからです。
時間をかけてゆっくり食べれば、胃腸の働きが活発になり、副交感神経が刺激されて、免疫力も高まります。またよく噛んで食べることにより満腹中枢が刺激され、適切なタイミングで脳が満腹と判断し食べ過ぎを予防できるのです。
さらに噛むことによって唾液が分泌されますが、その成分であるペルオキシダーゼは発がん性物質を抑制する効果があり、抗酸化物質でもあるので、免疫力を上げ老化を遅らせるなど、いいことずくめです。
他にも、食べ物の消化吸収がよくなったり、虫歯や歯周病の予防にもなります。さらに顔の筋肉が活発に動いて血流が増え、脳が活性化するために、認知症の予防にもなります。
ただここで注意していただきたいのは、よく噛んで食べるということは力を入れて噛むということではなくて、噛む回数を増やしてくださいということです。(一口30回噛みが理想!)
「早食いも芸のうち!」ではありません。「早食いは肥満のもと!」です。
いつまでも健康でいるためにも食事はよく噛んで食べることを心がけてください。