有賀歯科医院 ニュースレター No.19

夏の暑さを感じる今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。

今回は、前回ご紹介した「オーラルフレイル」によって起こりやすくなる誤嚥性肺炎についてお話します。

誤嚥性肺炎とは

肺炎の大部分は、細菌やウイルスの感染が原因で起こります。
特に、食べ物、唾液、胃液などが誤って肺に入り、肺に炎症を起こしてしまうのが「誤嚥性肺炎」です。
ある調査によると、肺炎での入院患者のうち、60歳代で6割、70歳代で8割、 80歳代になると9割以上が誤嚥性肺炎だということです。
誤嚥を起こすのは高齢者だけのように思われがちですが、実は若い世代でも寝ている間に 唾液を誤嚥しているという説があります。
ただ若い世代は免疫力が強いために、たまたま肺炎にまで至らないだけであって、夜寝る前に 十分に歯を磨かないと、たくさんの細菌が混じった唾液が誤って肺に入っているかもしれません。
いずれにせよ、若年者も高齢者も普段から肺炎予防に注意しておく必要があります。

誤嚥性肺炎が起こるしくみ

人間ののどは、呼吸をする(気管)と食べ物が通る道(食道)が交差しています。
(これは動物の中で人間だけです)
食べ物が入ってきて、人間が「ゴックン」と飲み込む、わずか一秒足らずの瞬間だけ、 気管の上についている喉頭蓋という、のどのフタが倒れ、気管の入り口をふさいでくれているのです。

(下図参照)

誤嚥性肺炎が起こるしくみ

このように、人間の体だけは、この複雑なメカニズムによって、食べ物を気管に入れることなく無事に食道に送り込むことができます。

この喉頭蓋というのどのフタは、体の外から見える「のどぼとけ」の奥にあります。
物を飲み込むと「のどぼとけ」が上下に動きますが、これはのどのフタ(喉頭蓋)が下りるときの動きなのです。

つまり、脳の機能が衰えて、のどのフタが下りるように脳からの命令の信号が正常に作動しなかったりのど周辺の筋力が低下すると、気管に食べ物やバイ菌が入って誤嚥性肺炎になりやすくなってしまうのです。
(また、誤って気管に入ってしまった食べ物や異物が詰まってしまい、 息ができなくなる「窒息」も同様に起こりやすくなりますので要注意!)

では、誤嚥性肺炎にならないためにはどうしたらいいでしょうか?

誤嚥性肺炎の予防法

1.意識的にせきをする、意識的につばを飲み込む

①気管に入り込んだ異物を吐き出す力をつけるために、折りを見て「ゴッホン!」とせきをする練習をする。
(注:ただし、周囲に人がいる場合は控えてください。たぶん嫌な顔をされると思います。)

②あなたは30秒間に、つばを「ごっくん!」と何回飲み込むことができるでしょうか?
3回未満だと異常、6回できれば正常と言われています。
唾液を5,6回飲み込んでから、食事をするとむせにくくなります。
普段から「ごっくん!」とつばを飲み込む練習をして、「飲み込む力」をつけましょう!

2.口腔ケアをしっかりする

口腔を綺麗にケアしていれば、たとえ誤嚥しても肺炎になる確率はぐっと低くなります。
人によって差はありますが、口の中には1000億以上、700種類近くの細菌がいます。
歯だけではなく、舌や上あご、インプラントや入れ歯のお掃除もしっかりとしてください。
(入れ歯についたカンジタ菌も誤嚥性肺炎の原因になります)
そして、定期的にお口の中のプロフェッショナルクリーニングをすれば、もっとばい菌を減らすことができるでしょう。

3.「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」

よく歯磨きをしたあとは、さらに念入りにうがいをしましょう。
まず、「ブクブクうがい」をして、口の中のばい菌を取り除き、口の中の粘膜をきれいにします。
その後「ガラガラうがい」をして、のどを刺激することにより、のどの筋力をつけます。

うがいは風邪やインフルエンザなどの感染予防にもなりますし、口やのどの運動にもなります。

歯科イメージ

他にも、誤嚥性肺炎の予防法はありますが、今回はどなたでもいつでもできる方法をご紹介しました。
とても簡単なことですが、これを続けてすることによって、かなり肺炎を予防できます。
ぜひ意識してやってみてくださいね。