有賀歯科医院 ニュースレター No.25

『新型コロナウイルス感染予防』

新型コロナウイルス感染予防

1 新型コロナウイルスと口腔ケア

「ウイルス」とはもともとラテン語で「毒」という意味です。

ウイルス

昔の人は、ペスト、コレラ、かぜ、インフルエンザなどは毒に侵される病気だと思っていたのでしょう。

ウイルスは生きた細胞内に入って仲間を増やし、喉の粘膜の細胞の受容体に吸着し感染します。

歯磨きをサボってお口の中に細菌がたくさんいると、細菌がウイルスの感染をサポートする毒素や酵素をたっぷりと出して、喉の粘膜に傷をつけ、その結果コロナウイルスへの感染が促進されてしまいます。

逆に「お口の中をきれいにして、細菌を減らすとコロナウイルス感染のリスクが減る」ことが最近の研究でわかってきました。

歯みがきセット

歯ブラシやフロスを使って、徹底的に細菌を除去し、抗菌性のあるコンクールなどの洗口液も併用すれば、さらに効果が上がります。

また、入れ歯をされている方は、入れ歯の洗浄もお忘れなく!

入れ歯専用ブラシや歯ブラシで汚れをきれいに除去して、入れ歯洗浄剤も必ず使用し清潔に保ちましょう。

歯みがきグッズ

2 歯周病の方は特に注意!

私たちの口の中には「ウイルスレセプター」といって、ウイルスが吸着する受容体がいくつもあります。口の中に入ったウイルスは、その「ウイルスレセプター」を通して細胞内に侵入し増殖していきます。通常、喉など口の中の「ウイルスレセプター」はタンパク質からできている粘膜で保護されています。

しかし、歯周病菌はプロテアーゼというタンパク質を分解する酵素を出し、保護している膜を破壊していくので、ウイルスが喉にくっついてどんどん細胞内に侵入してしまうのです。

歯が抜ける

つまり、歯周病菌が作り出すプロテアーゼという酵素が、新型コロナウイルスの細胞内侵入をサポートしてしまうのです。

また、歯周病で歯肉から出血しやすい人は、血管から直接新型コロナウイルスが体内に入ってしまう可能性があります。

そして、ご存知のように歯周病菌は血液を介して全身に拡がり、糖尿病、心臓疾患、脳梗塞、リウマチなどの全身疾患を悪化させてしまいます。

新型コロナウイルスに感染しても軽症ですむ方が多いなか、このような疾患がある方は重症化する傾向があるため、歯周病の方はそういった意味でも新型コロナウイルスが重症化してしまうリスクが高くなるのです。

新型コロナウイルスは同じウイルス性疾患として、今から100年ほど前に起こったスペインかぜと比較されますが、アメリカのプライス博士がその著書の中で驚くべき報告を発表しています。

スペインかぜが流行したアメリカとイギリスで調査したところ、「歯周病のある人の72%がスペインかぜにかかり、歯周病のない人は32%にとどまった」というのです。

また歯周病がある人は、ない人の4倍の死亡率であったと書かれています。

グラフ

当時は衛生面の問題もあったでしょうし、今のように医療体制もしっかりしていなかったでしょうから、一概に比較することはできませんが、いずれにせよ歯周病の方は、新型コロナウイルスに十分注意を払った方がよさそうです。

逆に言えば、お口の中を清潔にして歯周病などがない健康な状態を保つことができれば、新型コロナウイルスに感染した場合でも重症化が抑えられる可能性が高くなるのです。

よって、普段から徹底した歯磨きと、定期的な歯のクリーニング(特に歯周病の方)は、感染症防止のために必ず行うようにしてください。

3 新型コロナウイルスによる味覚障害

口の中には、舌や頬粘膜など前述したウイルスを吸着する受容体が多く存在します。

このウイルスを吸着する受容体が多い舌の細胞が新型コロナウイルスに感染してしまうと、味覚を感じる味(み)蕾(らい)細胞がウイルスによって破壊されるため味覚障害が起きてしまうのです。

舌は、新型コロナウイルスが特に付着しやすいというデータが出ています。

ですから、舌についた細菌やウイルスを除去するために、少なくとも一日に一回は舌も磨きましょう。

専用のブラシで力をかけすぎず、丁寧に磨いてください。

舌ブラシ

〔新型コロナウイルス感染予防のまとめ〕

手洗い、うがい

元気なからだは清潔なお口から!

緊急事態宣言は解除されましたが、まだ新型コロナウイルス感染の第2波、第3波が起こる可能性もあります。

お口の中に凶悪な細菌やウイルスを増やさないように、しっかりケアして病気を予防し、元気なからだで乗り切りましょう!

DrとDH