『新型コロナ&インフルエンザ予防強化策』
前回のニュースレターで歯磨きや舌磨き、歯のクリーニング、入れ歯の洗浄が新型コロナウイルスの予防に非常に有効であるということがわかっていただけたと思います。
冬場になるこの時期、さらにインフルエンザの予防も考えなくてはいけません。
そして新型コロナウイルスの第3波・第4波をかいくぐっていくには手洗い、マスクに加えもう一段ギアを上げて「防御力」を増していく必要がありそうです。
実はそのカギを握るのが「歯磨き、うがい」なんです。なぜならていねいな歯磨きやうがいをすることによって、歯周病を予防することがインフルエンザ、新型コロナウイルスなど恐ろしい感染症から身を守る対策になるからです。
1.新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスと歯周病
現在の研究では、危険なウイルスが体内に入り込む際に「歯周病菌がその手引きをしている」ことが明らかになっています。
口の中に入ったウイルスはノドや舌などの粘膜の入口から細胞の中に入り込みます。とはいえ、粘膜細胞はそうやすやすとウイルスに乗っ取られるわけではありません。通常ノドや舌などの粘膜細胞は豊富な粘液でおおわれ、隠されています。ウイルスが細胞の入口に吸着しようとしても、その粘液が邪魔するのでなかなか吸着できません。
ただお口の中がよごれていて歯周病菌がたくさんいると、歯周病菌の出す毒素が粘液の層を溶かしてしまいます。
するとウイルスの標的である粘膜細胞の入口が丸見えになり、ウイルスが容易に細胞内にはいってしまうのです。
さらに歯周病菌の出す毒素はウイルスのもつ「細胞の入り口を開ける力」をパワーアップさせてしまうことがわかっています。つまり、あなたの口の中にいる歯周病菌が増えれば増えるほど、新型コロナやインフルエンザにかかりやすくなるということです。
2.新型コロナ、インフルエンザの予防強化策
①ガラガラうがい
口の中に入ったウイルスがノドの粘膜細胞に取りつく前に20~30秒ほどガラガラうがいをして凶悪なウイルスを追い出しましょう!
〔うがい薬の種類〕
・ポピドンヨード(イソジン)
大阪府知事の記者会見で脚光を浴びたポピドンヨード。あの会見の後、薬局からポピドンヨードが消えてしまったほどの反響がありました。
ただポピドンヨードを使ったからといって、絶対にコロナウイルス感染しないということではありません。ポピドンヨードは確かにコロナウイルスは減少しますが、細胞の中に入ってしまったウイルスには効きません。コロナ重症化のリスクを軽減する可能性があるということで、まだ現時点ではその効果は研究段階ということです。
またポピドンヨードは確かに殺菌効果も高いので、歯周病予防や治療にも併用されることもありますが、甲状腺に異常のある方や妊婦には使用できません。
府知事の会見では、ポピドンヨードで一日4回うがいすると言われていましたが、あまりひんぱんにうがいするとお口の中の善玉菌が減ってしまうので、一日1回で十分だと思います。
ポピドンヨードは、ガラガラうがいによってウイルスを不活性化させることは実証ずみですが、細胞毒性を持つため最後に必ず水でうがいしてください。
・リステリン
これもポピドンヨードと同じく、ウイルスを短時間で不活性化します。
10種類くらい販売されていますが、アルコールが含まれているものは粘膜への刺激性が強く、アルコールを体内に吸収してしまうと害になるので使いすぎに注意して最後に必ず水でうがいしてください。
(アルコールが含まれていないリステリンもありますので、刺激に弱い方はそちらを使うといいと思います。)
②歯磨き後の洗口(うがい)
洗口液を使えば歯磨きをしなくてもいいと考えられている方もいますが、洗口液は歯磨きの代わりになるものではありません。
細菌のかたまりができてしまうと、洗口液の殺菌成分は、歯の表面や歯茎に届きにくくなります。
だから歯磨きで物理的に細菌のかたまりであるプラーク(バイオフィルム)を除去してから洗口液を使用してください。
口に含み口の中全体にいきわたるように、20~30秒ほどブクブクよくゆすいでから吐き出して下さい。
当院でも人気のある洗口液コンクールFはむし歯や歯周病予防に最適です。特に歯周病が気になる方、歯茎の炎症や腫れを一時的にでも抑えたい方には、歯磨きと併用していただくととても効果的です。
③徹底した体調管理
栄養、睡眠、軽い運動、ストレスをためないなど、できるだけ免疫力を高めて、病気に対して抵抗力をつけることも重要です。
このところ、コロナで外出を控えたり、テレワークでストレスが増したという方もいらっしゃるでしょう。
ストレスはウイルス感染だけでなく、むし歯や歯周病、顎関節症、ドライマウス、口臭などの発症・進行にかなり影響を及ぼします。
あなたに合った気分転換法を見つけてストレスにうまく対処してください。
新型コロナ・インフルエンザ予防強化策のまとめ
歯磨きをていねいにするといっても、自己流ではなかなか磨けないもの。ましてやフロスや歯間ブラシの使い方となると、プロの指導が欠かせません。
また、歯石は歯磨きでは取れず、歯周病菌の巣となってしまうため、歯科医院に通って除去する必要があります。
おそらく新型コロナウイルスとの闘いには時間がかかり、冬にはインフルエンザも加わった第3波・第4波にも警戒しなければなりません。
次の大波に備えて、ご家庭では、歯磨き・うがいを徹底して、歯科医院では歯周病を治し、歯のクリーニング・予防指導を受けて、ウイルスへの防御力を上げていきましょう!