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有賀歯科医院 ニュースレター №9
朝晩寒い日が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
今年は昨年と比べてもインフルエンザが早い時期から流行しており今後もまだまだ注意が必要となりそうです。
TVなどで、R-1乳酸菌は免疫力をUPさせ、インフルエンザや風邪の予防に効果があると言われていますが、栄養、睡眠を十分にとり、その日の疲れを翌日に残さないよう体調管理をしていきましょう。
うがい、手洗い、マスクの予防も忘れずに行いましょう。
定期検診を受けましょう – 予防が一番大切です-
超高齢化社会となった今、歯科では「削る」「かぶせる」という治療よりも、歯を「守る」こと=予防が大事なカギとなっています。
虫歯や歯周病で歯の本数が減ると、食事や運動などの様々な生活習慣が変化し、糖尿病や認知症を招く恐れがあります。
また、これらの細菌が血液に乗って全身に広がるため、心疾患や脳血管疾患など全身に影響を与えることも次々と明らかになってきています。
よって、虫歯や歯周病を予防することは、健康寿命を延ばし、医療費を抑制することにつながっていくのです。
定期検診の受診率は日本人の場合、10%未満です。予防に力を入れているアメリカでは70%以上、スウェーデンでは80%以上の人がお口の中に何も問題がなくても歯科検診を受けているというデータもあります。
治療が終わったお口の中は、虫歯菌や歯周病菌が生息しにくい環境が整い、細菌の数もコントロールされています。
しかし、この良好な状態を維持することは、容易なことではありません。ブラッシングを一生懸命行っていても、苦手なところや磨きにくいところは誰にでもありますし、毎日完全に汚れを落とすことはとても難しいことです。
ですから、お口に中を100%きれいな状態にしても、3ヵ月程すると細菌の数は元の状態に戻ってしまうと言われています。当院でも3ヵ月おきに定期検診にいらっしゃる患者さんが多いのは、そういう理由があるからです。
お口の健康を保ち続けるためには、定期的な歯科検診での早期発見と、併せて行うクリーニングで細菌の数を減らし、お口の中に細菌が定着しにくい環境を作ることが大切です。
是非、継続したお口の管理で自分の健康を維持していきましょう。
定期検診を3か月毎に受けている人受けていない人を比較したグラフです。定期的に検診を受けていると、お口の中は清潔に保たれ、良い状態を維持しやすくなります。
細菌の話①-細菌ってどんなもの?
今回から何回かにわたって、細菌についてお話をしていきます。
あなたは「細菌」というと、どんなことを思い浮かべますか?
むし歯菌、歯周病菌、結核菌、大腸菌など身体に悪さをする菌が多いのであまり良いイメージはお持ちではないかもしれませんね。でも、ビフィズス菌などの乳酸菌は悪い細菌を排除してくれる、私たちの強い味方です。
細菌の直径は0.001mm単位の小さいものです。(肉眼で見える大きさの限界は0.2mm)こんなに小さいものですから、細菌を見るために、集落(コロニー)を作らせる方法が行われます。
つまり、栄養源となる物資を溶かして、寒天で固めたもの(寒天培地)に細菌の試料を塗抹して細菌を増やしてコロニーを形成させる方法です。当院でも根の治療をした患者さんはご覧になったことがあるかと思います。
そもそも30億年前にはすでに細菌が誕生していました。
そしてさまざまな環境に順応しながら、多種多様な細菌の仲間が増えていったのです。約300年前にオランダのレーベンフックという人が、自分で作った顕微鏡で歯に付着している細菌を観察したところ、細長い細菌がつえ(杖)のように見えたところから、ギリシア語の杖という意味で細菌のことをバクテリアと呼ぶようになりました。
細菌の直径は0.001mm単位の小さいものです。(肉眼で見える大きさの限界は0.2mm)こんなに小さいものですから、細菌を見るために、集落(コロニー)を作らせる方法が行われます。
つまり、栄養源となる物資を溶かして、寒天で固めたもの(寒天培地)に細菌の試料を塗抹して細菌を増やしてコロニーを形成させる方法です。当院でも根の治療をした患者さんはご覧になったことがあるかと思います。
一方、ウイルスは細菌よりもさらに小さく、電子顕微鏡を使わないと観察することができません。細菌の10分の1から100分の1の大きさです。こんな小さいものなので、よけいに私たちの身体に侵入しやすく、だからマスクや手洗い、うがいが必要になってくるのですね。
さて、私たちの健康を脅かす細菌は病原性細菌といわれるものです。それらの細菌は私たちの身体の中にひっそりと住み着いているもの(常在菌)もあれば、外から侵入してくるものもあります。
病原性の弱い細菌でも、私たちの抵抗力が下がるのを待っていて、仲間を増やして命を狙ってくるものさえいるのです。
悪い細菌は白血球に食べられて殺されないために、きょう膜という鎧(よろい)をまとっており、その上に毒素などの武器を持って私たちに襲いかかってくるのです。
だからこの細菌を退治するために、私たちは歯を磨いたり、クリーニングをしたり、入れ歯を洗浄する必要があるのです。
歯ブラシは細菌の住みか?!
歯ブラシの中には細菌がうじゃうじゃ
みなさんが毎日何気なく使っている歯ブラシ。実はこの歯ブラシに付着している細菌の多さを知っていますか?
歯ブラシは一度の使用で細菌の数が便器と同じぐらい増殖すると言われています。便器と同じくらいの細菌を口の中に入れると考えただけでゾッとしますよね。
なんと1億個!!
イギリスのマンチェスター大学の調査では、歯ブラシに付着している細菌数はなんと1億個以上という結果がでたそうです。
しかし、人の口腔内にはもともと沢山の細菌が生息しています。そのため神経質になりすぎる必要はありません。それでも、細菌がたくさんいる歯ブラシで歯を磨くのは気分的に嫌ですよね。
では、歯ブラシはどのように管理していけばよいのでしょうか。
歯ブラシの管理方法
使用した歯ブラシはしっかり洗う
歯ブラシの毛の部分に食べかすなどが残っていると、腐敗し、細菌が増殖します。
歯ブラシは使用したらしっかり乾燥させる
濡れたままの歯ブラシは細菌が繁殖しやすくなります。携帯用歯ブラシを使用する人もしっかり歯ブラシを乾燥させてからケースに入れるようにしましょう。
歯ブラシの使いまわしはしない
恋人や家族などと同じ1本の歯ブラシを使いまわすのはやめましょう。歯磨きを共有する事で、他人のもっている細菌を自分の口の中に入れる事になり、病気や感染症のリスクが上がります。
歯ブラシを置く場所は清潔に
歯ブラシホルダーや歯ブラシを立てているコップなども清潔に保ちましょう。また、複数の歯ブラシを1つのコップで保管する場合もブラシの毛先が触れ合わないようにしましょう。
歯ブラシが触れ合って立ててあると他人と歯ブラシを共有しているのと同じになります。
歯ブラシは月に1回の頻度で交換が理想
歯ブラシの毛先が広がっている場合などはもちろんですが、歯ブラシに問題がないように見える場合でも長期間使用することで沢山細菌が付着しています。
そのため1ヶ月に1回のペースで交換するようにしましょう。
毛先が広がっている歯ブラシはプラークの除去率が低下します。また歯茎を傷つけることもあるので交換するようにしましょう。
トイレに置きっぱなしにしない
トイレには空気中に見えない細菌が飛び散っています。そのためそこから付着して細菌が増えます。歯ブラシはできるだけトイレから離れた場所で保管するようにしましょう。
この他にもブラッシング後に殺菌効果のあるマウスウォッシュなどを使用するのも良いかもしれませんね。
毎日使用する物だからこそしっかり清潔に管理するようにしましょう。
プラークのことを詳しく知ろう!
お口は細菌の住みか
みなさんの体の中で一番多くの種類の細菌が存在している場所はどこだと思いますか?
それはお口の中です。
生きた細菌のかたまりプラーク
お口の中の病気には、むし歯や口臭、歯周病などがあります。そのトラブルの原因となるのがみなさんもよく耳にするプラーク(歯垢)です。
プラークは歯の表面に付着した黄白色をした粘着性の物体のことで、生きた細菌のかたまりです。1mgのプラークの中にはおよそ1億個もの細菌がいるといわれています。
プラークの中には歯周病菌や、むし歯の原因になるミュータンス菌などが存在しており、さまざまなトラブルの原因となります。
プラークは粘着性があるため、うがいだけでは除去することはできません。
歯磨きをしても、磨き残しがあると、プラークが付着したままの状態となるので、口の中は危険な状態にさらされることになります。
磨き残しがある場所
では、プラークを除去するにはどうしたらよいのでしょうか。
お口の中の環境は一人一人それぞれ違います。
そのため、歯磨きもその人に合わせた方法で行うことがプラークの除去に有効です。
とくに歯ブラシの毛先が届きにくく、磨き残しがあるところは、
1.奥歯の噛みあわせ部分(咬合面)
2.歯と歯の間(隣接面)
3.歯と歯ぐきの境目(歯頸部)
また、毎日の歯磨きで自然にクセがついてしまうと、常に磨き残しのある場所を作ってしまいます。
歯科医院で定期健診を
そのため、歯科医院での定期検診などで磨き残しの確認(歯垢染色液剤によって簡単に調べることが可能)や、歯の状態に合わせたプラークの落とし方を歯科医師や歯科衛生士などの専門家から指導を受けて適切な歯磨きをするようにしましょう。
強く磨いてもダメ
歯磨きをするときに、歯ブラシをただあてて磨くだけでは十分にプラークを落とすことはできません。
歯ブラシの使い方にも気をつけましょう。基本的に歯ブラシをあてるときは軽い力で磨きます。歯ブラシで歯を強く磨いたからといってプラークが落ちるわけではありません。
強く磨くことで歯ぐきを傷つけてしまうこともあります。わかりやすいやり方は、歯ブラシを鉛筆持ちで持って磨くことです。この持ち方をすることで過度の力は加わりません。
細かく磨くことがコツ
また、歯ブラシの毛先は歯面にきちんとあたるようにして1本ずつ細かく磨くようにしましょう。
歯磨きをする際に、歯ブラシとともに歯間ブラシやデンタルフロスを使用することも、プラーク除去には大変効果的です。
大切なことは、毎食後歯磨きをする習慣を身に付けることです。
また、歯科医院で定期的に健診を受けるようにしましょう!