有賀歯科医院 ニュースレター No.22

梅雨の季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。

今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。

今回は前回に引き続いて、「唾液」と「ドライマウス(口腔乾燥症)の対処法」についてくわしくお話します。

唾液の重要な役割

1.口の中を清潔にする自浄作用

食後は舌の上や頬の隙間、歯の間などに食べかすがたくさん残ります。
食べかすが残るということは、もっと小さい細菌やウイルスは数多く口の中に停滞しているということです。

サラサラした唾液が多く出れば、それらの細菌やウイルスを流してくれて、むし歯や歯周病、その他の病気になりにくくしてくれます。
逆に唾液がいくら多くても、ネバネバした唾液は自浄作用が弱くなってしまいます。

注意リラックスして楽しいときは、サラサラした唾液が分泌され、会話や食事が円滑に行えるようになり、
病気に打ち勝つ免疫力も維持されています。
しかしストレスを強く感じると、サラサラした唾液は減って、ネバネバした唾液が多く分泌され、
免疫力も低下していきます。

口の中がネバネバしたときは要注意!

 

2.消化作用

唾液に含まれるアミラーゼという酵素が、ごはんやパンなどのデンプン質を糖に分解し、糖を吸収しやすくしてくれます。

食べ物を何回も良く噛んで食べれば、唾液での消化が進み胃の負担も軽くなります。

3.抗菌作用

口は消化器のはじまりであり、、食道を通って胃につながっていますが、気管支や肺にも連絡しています。

また口や喉とは直接隣接し、そればかりか目や耳にもつながっています。

菌このように口は全身とつながり、すべての病は口から起こるといっても過言ではありません。

会話のときの口呼吸や飲食に伴い、外界の細菌やウイルスが口から体内へ取り込まれます。花粉や排気ガスや化学物質も口から入ってきます。

ほとんどの病原菌は口から侵入してくるのです。

こうした病原菌を唾液に含まれる抗菌物質が防御してくれます。

4.粘膜保護作用

唾液に含まれるたんぱく質が、フランスパンやクッキーのような硬いものが接触しても傷がつかないように、口の粘膜をコート(保護)しています。

5.粘膜修復作用

唾液には傷を治す成長因子や、脳神経の老化を防止する神経成長因子が含まれています。

動物が傷口をなめるのは、唾液の抗菌作用を利用しているだけでなく、傷の修復を促進させていると考えられています。

唾液を増やす方法(ドライマウス対処法)

DH前回も唾液量をアップするために、食べ物をよく噛むことや唾液腺マッサージについてお話ししましたが、その他の方法についてお話しします。

1.水分を補給する

水分補給には水がベスト!
水を適度に補給することでお口の乾燥を防ぎ、かつ唾液分泌の促進を図ることができます。

①水の摂取量の目安は、常温でコップ一杯(約200cc)を一日4回

②水を飲む時間の目安

朝の水1.朝起きてすぐの歯磨き後
2.午前10時頃(朝食と昼食の後)
3.午後3時頃(昼食と夕食の間)
4.午後9時頃(夕食と就寝時の間)
5.その他、喉が乾いたとき

★お茶の飲み過ぎに注意!

緑茶やウーロン茶などのお茶は、水分補給の意味では逆効果。

お茶にはカフェインやテオフィリンが含まれているために利尿作用が強く、その結果尿の量が増え、水分が体外に排出されるために、常に口の中が乾く状態になります。

★唾液と血液の関係

唾液と血液は非常に似かよっており、唾液がネバネバ・ドロドロする時、血液も同様にドロドロしています。
そのため血液をサラサラにするためにも、唾液と同じようにまめに水分補給しましょう!

2.コロコロガム法

①ガムを味がなくなるまでよく噛みます(⇒唾液が分泌)
②さらにガムを口の中で球体にして、舌の上でコロコロ転がします。(噛まない)
(⇒舌が球体となったガムを異物と認識し、「異物反射」により唾液の分泌を促進)

③しゃべるときは上あごの奥の頬と歯ぐきの間にガムをはさむ。
(⇒耳下腺を刺激して、さらに唾液が分泌)

④毎食後1粒、一日3回噛んでその後に歯磨きをする。

⑤ガムは、むし歯予防の高いキシリトール入り(純度100%に近い)ガムを選ぶ。

3.口呼吸をやめる

外を歩いていると、口をポカンと開けた人をよく見かけます。
口呼吸をしていると、口の中が乾燥し、唾液の自浄作用や免疫力が低下するので、風邪やインフルエンザ
などの病気にかかりやすくなります。
前歯が出ているなど歯並びが悪かったり、鼻炎で鼻がつまりやすい人は口呼吸になりやすいので、それを治す治療が必要です。

4.薬剤の種類・量を減らす

患者さんと医師現在700種類以上のお薬が口腔乾燥を引き起こすと言われています。
抗うつ剤、抗不安薬、抗てんかん薬、”
抗パーキソン病薬、降圧剤、利尿剤、抗アレルギー薬、気管支拡張剤など多数にのぼります。

もし服用している薬剤による唾液分泌低下が考えられる場合は、副作用の少ない薬剤への変更や量を減らす必要があります。
患者さん自身で勝手にできることではないので、主治医とよく相談の上決めてください。

5.保湿剤、唾液分泌促進剤、漢方薬を利用する

簡単に口の中をうるおすには、保湿剤を乾燥する場所(舌、頬の内側、上あご、歯ぐきなど)に塗ってマッサージしたり、必要な場合は唾液の分泌を促進する薬剤の服用が効果的です。

6.口の機能を上げるトレーニングをする

①舌を前に出したり、引っ込めたりする
②舌をくちびるの内側で回す
③舌で上あごをなめる
④舌で頬の内側を強く押す
⑤頬を大きく膨らます
⑥「イー・ウ―運動」 口をイ―とする、口を尖らせる

イー・ウ―運動

地球の温暖化や緑地の減少などの環境、食生活の変化によって、昔に比べて口が乾く人がどんどん増えています。

自動販売機やコンビニには多種多様の飲み物が並べられ、ペットボトルをいつも持ち歩いている人もよく見かけます。
あたかも私たちのカラダが、水をもっともっと欲しているかのようです。

もしご自身の口が乾きやすい、唾液が少ないと感じたら、前回と今回お話しした対処法をぜひ試してください。

お口や全身の健康を維持

また唾液が少ない方は、むし歯や歯周病が多発、進行しやすかったり、入れ歯が合わなくなったりします。
その場合はぜひ唾液検査をして、早めに治療をしたり、定期検診やクリーニングをする間隔を短くして、お口や全身の健康を維持して下さい。