有賀歯科ニュースレター
有賀歯科医院 ニュースレター No.30
『免疫力を上げる③』
前号では、細菌やウイルスを退治してくれる白血球を十分に機能させるために、十分な水分補給をすること、ご飯はお腹が空いたときに食べること、アルカリ性食品を多めに摂るということをお話ししました。
三密の回避、マスクや消毒の徹底、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことによって、感染者が減少傾向にありますが、まだまだ安心はできません。
新型コロナウイルスは、今、この瞬間も変化を続けていますし、これから鳥インフルエンザや新しい感染症がまた流行するかもしれません。
そのたびにワクチンを打つわけにもいきませんし、ワクチンの効果がいつまで続くかもわかりません。
でも「免疫力」が高ければ、新型コロナウイルスはほぼ抑えられます。ウイルスへの最強の対策は、消毒やワクチンではなく「ただ健康であること」です。(これが一番難しいことですが…)
今回は、普段の日常生活でほんの少し心がけるだけで、免疫力を上げる方法についてお話しします。
1⃣からだを温める
人間のからだは36.5℃~37℃の間で一番働くようになっています。
例えば体温が1℃下がると免疫力は30%低下し、基礎代謝も12%低下、がん細胞も繁殖しやすくなるなど悪いことばかりです。
逆に、体温を1℃上げるだけで、免疫力は50~60%高くなります。体温を上げることによって、がん細胞の増殖を抑制することができます。もしあなたが35℃台だったら要注意!
がん細胞が最も好んで繁殖するのは35℃台の低体温ですから、そういう方は体温を上げる努力をしましょう!
では、なぜ体温が高くなると免疫力が上がるのでしょうか?体温が上がると血液の流れがよくなります。血液中の白血球は、免疫機能をつかさどる免疫細胞の要(かなめ)です。
白血球の流れがよくなれば、免疫が自(おの)ずと働きやすくなり、免疫力が上がるというわけです。
だから健康に暮らしていくうえで、体温というのはとても重要なんです。
簡単にからだを温められるものといえば、なんといってもお風呂ですね。
ただ、熱いお湯に首まで浸かってじっくり温まることは、一見からだにいいように見えますが、これは逆効果。42℃以上の熱すぎるお湯に首まで浸かっていると、心臓や血管に負担がかかってしまいます。高血圧の人であれば、血圧が上昇し、心筋梗塞など血管系の病気を招く恐れもある
ため危険なのです。
熱いお湯に浸かっていると、交感神経が優位になり、心身が緊張して逆にからだが疲れてしまいます。さらに汗をかいて体内の水分が放出され、脱水症状を起こすこともあります。
また、シャワーだけですませる場合、浴びた直後は温まった気がしても、結果的にからだが冷えるだけで効果はほとんどありません。
からだにいいお風呂の入り方は、40℃程度のお湯に10分ぐらい浸かる(体温が1℃上がります)のが適正とされています。
さらに「入浴剤」を活用することで、入浴効果を高めて免疫力をアップすることができます。
入浴剤を入れたお風呂は、普通のお湯に比べて温浴効果が高く、お風呂から出たあともしばらくはからだがポカポカして湯ざめしにくくなります。
特に炭酸ガス入りの入浴剤はさらに温浴効果が高くなっています。血中に取り込まれた炭酸ガスが血管を拡げ、血流量を増加。お風呂で温められた血液が全身をめぐることで、からだの隅々までしっかり温めてくれるので、ちょっと疲れがたまっているなと感じたときは、炭酸ガス入りの入浴剤を試してみてはいかがでしょうか!
それから、体を冷やすような飲食物はなるべく摂らないようにして、からだを温めてくれるものを摂りましょう!
「冷えは万病のもと」です!
最近は、新型コロナウイルスの影響で体温を測ることが増えましたが、日常的に測定することも大事です。知らない間に体温が下がり、免疫力が低下していたなんてことは少なくないのですから!
2⃣噛めば噛むほど免疫力が上がる―早食いはデメリットばかり!
とにかく現代は早く食事を済ませなければならないことが多くあります。
しかし免疫力の面でみると、早食いにはいいことがまったくなく、デメリットしかありません。食べ物をよく噛まずに食べると、肥満や糖尿病になる危険が増して免疫力は低下していくからです。
時間をかけてゆっくり食べれば、胃腸の働きが活発になり、副交感神経が刺激されて、免疫力も高まります。またよく噛んで食べることにより満腹中枢が刺激され、適切なタイミングで脳が満腹と判断し食べ過ぎを予防できるのです。
さらに噛むことによって唾液が分泌されますが、その成分であるペルオキシダーゼは発がん性物質を抑制する効果があり、抗酸化物質でもあるので、免疫力を上げ老化を遅らせるなど、いいことずくめです。
他にも、食べ物の消化吸収がよくなったり、虫歯や歯周病の予防にもなります。さらに顔の筋肉が活発に動いて血流が増え、脳が活性化するために、認知症の予防にもなります。
ただここで注意していただきたいのは、よく噛んで食べるということは力を入れて噛むということではなくて、噛む回数を増やしてくださいということです。(一口30回噛みが理想!)
「早食いも芸のうち!」ではありません。「早食いは肥満のもと!」です。
いつまでも健康でいるためにも食事はよく噛んで食べることを心がけてください。
有賀歯科医院 ニュースレター No.29
『免疫力を上げる②』
前号では、細菌や新型コロナウイルスを体内に入れないために、ビタミンA、ビタミンD、亜鉛などを含む食品やサプリメントを積極的に摂取して、目や鼻、口の粘膜を丈夫にする方法についてお話ししました。
今回は運悪く細菌やウイルスが体内に入ってしまった場合について、体の免疫システムとその強化法についてお話します。
免疫の中心となる白血球
皮膚や粘膜のバリアを突破されたときに出番となる白血球による免疫機能。
ここで異物(細菌やウイルスなど)を食い止めないと、体は病に蝕(むしば)まれてしまいますから、
言ってみれば最後の砦(とりで)。免疫の中心となる大事な部分と言えます。
血液の中には、血球(赤血球、白血球、血小板)と液体成分である血漿がありますが、体内に侵入した異物を排除するなど免疫に関する働きをしてくれるのが、血液中の白血球です。
この白血球の働きをよくするためには、どうしたらいいでしょう?
1.十分な水分補給をする
この免疫にとって大事な白血球は、血液の中に存在しながら、全身を巡っています。
もし水分が不足すれば、血液の循環が悪くなって免疫力が低下してしまうので、熱中症予防もかねて、水分補給を十分にしましょう。
人間は眠っている間にもコップ1~2杯の汗をかくといわれ、寝ている間もほとんどの方が慢性的に水分不足に陥っています。
「トイレに行きたくないから…」という方もいらっしゃると思いますが、寝る前の適度な水分補給はとっても大切です。
でも残念ながら寝酒は水分補給にはなりません。(むしろアルコールを分解するために体内の水分が使われて、余計に喉が渇くことになりますから…)
寝床に水のペットボトルを置いて、夜中目が覚めたら一口でも飲めば、血液の流れもずっとよくなります。
そして起きたら必ずコップ一杯のお水を飲みましょう!
「喉がかわいた」というときは、もうすでに脱水症状です。からだは一日中水を欲しがっているのです。
2.空腹状態にする⇒おなかがすいたらご飯を食べる
免疫細胞である白血球は、満腹状態では活発に働きません。逆に空腹時ほどパワーアップします。
「食事は3食きちんと食べること」とよく言われますが、食べる量を調節して決して食べ過ぎないように心がけてください。
動物は普段からお腹が空かなければ食べ物を食べませんし、病気になったときはじっとして何も食べません。
これは空腹によって自然治癒力を作り出し、免疫力を上げようとしているのです。
人間も動物と同じように、お腹が空いたら食べることが一番で、それ以外のときに無理に食べる必要はありません。
3.体を酸性にしない⇒弱アルカリ性にする
もともと人間の体は弱アルカリ性ですが、肉や砂糖などの糖質をたくさん食べることが多い現代人は、どうしても酸性に傾きがちです。
体が酸性になると、免疫の要(かなめ)といえる白血球の働きが悪くなります。
また血液の流れが悪くなることで、疲れやすい、朝起きるのがつらいなどといった状態を引き起こし、そのまま放置すればさまざまな病気を招くことにもなりかねません。
口の中も酸性度が強くなると、歯が溶けやすくなり、むし歯が発生しやすくなります。
また酸性化しはじめると、血液は骨からカルシウムを奪って弱アルカリ性に戻そうとします。
その結果、歯を支える顎の骨も溶けて、歯周病が進んでしまったり、骨粗鬆症になりやすくなります。
ですので普段から意識して酸性食品よりもアルカリ性食品を多く摂るようにしましょう!
酸性食品…肉や魚、炭水化物、砂糖、加工食品
アルカリ性食品…野菜、果物、きのこ、海藻、大豆、梅干し
ただし、酸性食品である肉や炭水化物は私たちのエネルギー源として必要なものですから、あくまでも食べ過ぎなければ問題はないと思います。
以上、細菌やウイルスを退治してくれる白血球を十分に機能させる方法についてお話ししました。
ぜひ、これらのことを普段から実行して、あなたの免疫力をアップさせてください!
有賀歯科医院 ニュースレター No.28
『免疫力を上げる①』
前回までは、徹底した歯磨き、歯のクリーニング、うがいなど、お口の中をきれいにすることが、カゼ、インフルエンザ、新型コロナウィルスの予防に多大な効果があるということをお話ししました。
病気全般に言えることですが、その他に食事、運動、睡眠、ストレスなどの食生活習慣も影響するということは言うまでもありません。
つまり病気にならないためには、正しい食生活習慣を続けるかどうか、それによってその人の「免疫力」をいかに上げるかどうかにかかっています。
感染症は、細菌やウイルスが体内に侵入することで成立するわけではありません。症状が出るか出ないかは、その病原体の感染力と、その人自身の抵抗力や免疫力のバランスで決まります。
新型コロナウイルスのケースでも、PCR検査をして陽性であったにもかかわらず、何の症状も出なかった人がいました。
症状がまったく出なかったり、軽症ですんでいるということは、ウイルスが鼻や口の中などの粘膜に付着しているだけで体に影響がない状態か、あるいはたとえ影響があっても「免疫力」によって炎症が軽度ですんだことを示します。
今回はこの「免疫力」をテーマに感染症予防対策についてお話ししていきたいと思います。
1.免疫とは?
「病気にならないためには、免疫が大切」といわれますが、そもそも免疫とは何でしょうか?
もともとの語源はラテン語で「疫(えき)病を免(まぬが)れる」という意味で、免疫という言葉が使われるようになりました。
ある種類の感染症では一度感染して治った人は二度とかからないということが「免疫ができた」という意味になります。
私たちの体が病原体に侵されないように常に警備し、必要に応じて戦う、この免疫システムがあるからこそ、私たち人間は生き延びてきたといえます。
2.ウイルスはどこから入ってくるのか?
私たちの体は皮膚や粘膜に覆われています。
皮膚からは傷でもない限り、ウイルスはほとんど入ってきません。
ですから、新型コロナウイルスの感染予防対策として、手洗いが推奨されていますが、手にウイルスがついただけでは感染しません。
その手についたウイルスが目や鼻・口の中の粘膜に移ることが問題なのです。
ただしウイルスがその粘膜に触れたからといって、必ずしも感染するわけではありません。
粘膜には、病原体を排除する様々な機能があるのです。
3.目や鼻・口の中の粘膜と粘液
目や鼻・口の中などの粘膜はウイルスや細菌に感染しやすいですが、粘膜を覆っている粘液に病原体を排除しようとする働きがあります。
たとえば、鼻や目に異物が入ったときには、鼻水や涙が出ます。
これは、鼻の粘膜や目の粘膜から分泌される粘液によって、鼻水・涙として異物を排除しているのです。
また、口の中は唾液の自浄作用やウイルス、細菌を中和する作用が働いてくれます。
このように粘液がしっかり分泌されれば、細菌やウイルスが侵入しても粘膜まで到達する前に粘液ごと排除してくれます。
さらに粘膜の排除を通り抜けた細菌やウイルスが粘膜の中に侵入しないように、目・鼻・口の中(歯肉、舌、上アゴ、頬や唇の内側、のどなど)の粘膜を丈夫にすることも重要です。
4.粘膜を丈夫にしてウイルスに勝つには?
粘膜を丈夫にして、粘膜の再生を促す栄養素には「ビタミンD」「ビタミンA」「亜鉛」などがあり、これらの栄養素を豊富に含んでいる食材あるいはサプリメントを摂取することが最も効果的です。
①ビタミンD
ビタミンDには「免疫力」を増強させ、がん、感染症、動脈硬化、心臓疾患、糖尿病、認知症、うつ病を予防する効果があります。
ビタミンDはマグロ、サバ、アンコウ、イワシ、サンマ、シラス、ヒラメ、タイ、タコ、カキ、ウナギなどに含まれています。
つまり魚をたくさん食べることでビタミンDが増えます。また、ビタミンDは食べ物から摂取するだけでなく、皮膚でも合成されます。
皮膚にあるコレステロールが太陽の紫外線を浴びることによってビタミンDに変わります。
紫外線の害を気にしている方もいるかもしれませんが、全く浴びないとビタミンD不足を招いてしまいます。せめて、一日15分ぐらいは太陽の光を浴びるようにしましょう!
最近ビタミンDが新型コロナウィルスに影響があるのではないかと言われています。
インドネシアで血中ビタミンD濃度と新型死亡者数と致死率のデータが公表されました。
つまり、ビタミンDを十分に摂取している人は、新型コロナウィルスに感染したとしても生存する確率が高くなるということです。
また、カルシウムをいくら摂っても、ビタミンDがないと小腸からカルシウムが吸収されないために強い骨を作ることができません。
その結果、歯や骨がもろくなりやすくなってしまいます。
②ビタミンA
ビタミンAが不足すると、ドライアイ、結膜炎、カゼなどになりやすく、皮膚が乾燥してカサカサになります。
ビタミンAは、ニンジン、ブロッコリー、オクラ、バター、卵、チーズ、レバー、ウナギなどに多く含まれています。
③亜鉛
亜鉛が不足すると、免疫力、抵抗力が低下して、傷が治りにくくなり、下痢、高血圧、リウマチ性関節症、胃潰瘍、骨粗鬆症、味覚障害、前立腺がん、糖尿病などになりやすくなります。
亜鉛は、カキ、赤身の肉、ラム肉、納豆、ほたて、ウナギ、レバーなどに多く含まれています。
以上の食べ物を摂取するとともに、サプリメントを活用することも一つの方法です。
粘膜を丈夫にすることは、花粉症やその他のアレルギーの予防にもなります。
細菌やウイルスを体の中に入れないように、ビタミンD、ビタミンA、亜鉛などを積極的に取り入れて、粘膜の免疫力を高めていきましょう。
有賀歯科医院 ニュースレター No.27
『新型コロナ&インフルエンザ予防強化策』
前回のニュースレターで歯磨きや舌磨き、歯のクリーニング、入れ歯の洗浄が新型コロナウイルスの予防に非常に有効であるということがわかっていただけたと思います。
冬場になるこの時期、さらにインフルエンザの予防も考えなくてはいけません。
そして新型コロナウイルスの第3波・第4波をかいくぐっていくには手洗い、マスクに加えもう一段ギアを上げて「防御力」を増していく必要がありそうです。
実はそのカギを握るのが「歯磨き、うがい」なんです。なぜならていねいな歯磨きやうがいをすることによって、歯周病を予防することがインフルエンザ、新型コロナウイルスなど恐ろしい感染症から身を守る対策になるからです。
1.新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスと歯周病
現在の研究では、危険なウイルスが体内に入り込む際に「歯周病菌がその手引きをしている」ことが明らかになっています。
口の中に入ったウイルスはノドや舌などの粘膜の入口から細胞の中に入り込みます。とはいえ、粘膜細胞はそうやすやすとウイルスに乗っ取られるわけではありません。通常ノドや舌などの粘膜細胞は豊富な粘液でおおわれ、隠されています。ウイルスが細胞の入口に吸着しようとしても、その粘液が邪魔するのでなかなか吸着できません。
ただお口の中がよごれていて歯周病菌がたくさんいると、歯周病菌の出す毒素が粘液の層を溶かしてしまいます。
するとウイルスの標的である粘膜細胞の入口が丸見えになり、ウイルスが容易に細胞内にはいってしまうのです。
さらに歯周病菌の出す毒素はウイルスのもつ「細胞の入り口を開ける力」をパワーアップさせてしまうことがわかっています。つまり、あなたの口の中にいる歯周病菌が増えれば増えるほど、新型コロナやインフルエンザにかかりやすくなるということです。
2.新型コロナ、インフルエンザの予防強化策
①ガラガラうがい
口の中に入ったウイルスがノドの粘膜細胞に取りつく前に20~30秒ほどガラガラうがいをして凶悪なウイルスを追い出しましょう!
〔うがい薬の種類〕
・ポピドンヨード(イソジン)
大阪府知事の記者会見で脚光を浴びたポピドンヨード。あの会見の後、薬局からポピドンヨードが消えてしまったほどの反響がありました。
ただポピドンヨードを使ったからといって、絶対にコロナウイルス感染しないということではありません。ポピドンヨードは確かにコロナウイルスは減少しますが、細胞の中に入ってしまったウイルスには効きません。コロナ重症化のリスクを軽減する可能性があるということで、まだ現時点ではその効果は研究段階ということです。
またポピドンヨードは確かに殺菌効果も高いので、歯周病予防や治療にも併用されることもありますが、甲状腺に異常のある方や妊婦には使用できません。
府知事の会見では、ポピドンヨードで一日4回うがいすると言われていましたが、あまりひんぱんにうがいするとお口の中の善玉菌が減ってしまうので、一日1回で十分だと思います。
ポピドンヨードは、ガラガラうがいによってウイルスを不活性化させることは実証ずみですが、細胞毒性を持つため最後に必ず水でうがいしてください。
・リステリン
これもポピドンヨードと同じく、ウイルスを短時間で不活性化します。
10種類くらい販売されていますが、アルコールが含まれているものは粘膜への刺激性が強く、アルコールを体内に吸収してしまうと害になるので使いすぎに注意して最後に必ず水でうがいしてください。
(アルコールが含まれていないリステリンもありますので、刺激に弱い方はそちらを使うといいと思います。)
②歯磨き後の洗口(うがい)
洗口液を使えば歯磨きをしなくてもいいと考えられている方もいますが、洗口液は歯磨きの代わりになるものではありません。
細菌のかたまりができてしまうと、洗口液の殺菌成分は、歯の表面や歯茎に届きにくくなります。
だから歯磨きで物理的に細菌のかたまりであるプラーク(バイオフィルム)を除去してから洗口液を使用してください。
口に含み口の中全体にいきわたるように、20~30秒ほどブクブクよくゆすいでから吐き出して下さい。
当院でも人気のある洗口液コンクールFはむし歯や歯周病予防に最適です。特に歯周病が気になる方、歯茎の炎症や腫れを一時的にでも抑えたい方には、歯磨きと併用していただくととても効果的です。
③徹底した体調管理
栄養、睡眠、軽い運動、ストレスをためないなど、できるだけ免疫力を高めて、病気に対して抵抗力をつけることも重要です。
このところ、コロナで外出を控えたり、テレワークでストレスが増したという方もいらっしゃるでしょう。
ストレスはウイルス感染だけでなく、むし歯や歯周病、顎関節症、ドライマウス、口臭などの発症・進行にかなり影響を及ぼします。
あなたに合った気分転換法を見つけてストレスにうまく対処してください。
新型コロナ・インフルエンザ予防強化策のまとめ
歯磨きをていねいにするといっても、自己流ではなかなか磨けないもの。ましてやフロスや歯間ブラシの使い方となると、プロの指導が欠かせません。
また、歯石は歯磨きでは取れず、歯周病菌の巣となってしまうため、歯科医院に通って除去する必要があります。
おそらく新型コロナウイルスとの闘いには時間がかかり、冬にはインフルエンザも加わった第3波・第4波にも警戒しなければなりません。
次の大波に備えて、ご家庭では、歯磨き・うがいを徹底して、歯科医院では歯周病を治し、歯のクリーニング・予防指導を受けて、ウイルスへの防御力を上げていきましょう!
有賀歯科医院 ニュースレター No.26
『新型コロナウイルス感染予防』
1 新型コロナウイルスと口腔ケア
「ウイルス」とはもともとラテン語で「毒」という意味です。
昔の人は、ペスト、コレラ、かぜ、インフルエンザなどは毒に侵される病気だと思っていたのでしょう。
ウイルスは生きた細胞内に入って仲間を増やし、喉の粘膜の細胞の受容体に吸着し感染します。
歯磨きをサボってお口の中に細菌がたくさんいると、細菌がウイルスの感染をサポートする毒素や酵素をたっぷりと出して、喉の粘膜に傷をつけ、その結果コロナウイルスへの感染が促進されてしまいます。
逆に「お口の中をきれいにして、細菌を減らすとコロナウイルス感染のリスクが減る」ことが最近の研究でわかってきました。
歯ブラシやフロスを使って、徹底的に細菌を除去し、抗菌性のあるコンクールなどの洗口液も併用すれば、さらに効果が上がります。
また、入れ歯をされている方は、入れ歯の洗浄もお忘れなく!
入れ歯専用ブラシや歯ブラシで汚れをきれいに除去して、入れ歯洗浄剤も必ず使用し清潔に保ちましょう。
2 歯周病の方は特に注意!
私たちの口の中には「ウイルスレセプター」といって、ウイルスが吸着する受容体がいくつもあります。口の中に入ったウイルスは、その「ウイルスレセプター」を通して細胞内に侵入し増殖していきます。通常、喉など口の中の「ウイルスレセプター」はタンパク質からできている粘膜で保護されています。
しかし、歯周病菌はプロテアーゼというタンパク質を分解する酵素を出し、保護している膜を破壊していくので、ウイルスが喉にくっついてどんどん細胞内に侵入してしまうのです。
つまり、歯周病菌が作り出すプロテアーゼという酵素が、新型コロナウイルスの細胞内侵入をサポートしてしまうのです。
また、歯周病で歯肉から出血しやすい人は、血管から直接新型コロナウイルスが体内に入ってしまう可能性があります。
そして、ご存知のように歯周病菌は血液を介して全身に拡がり、糖尿病、心臓疾患、脳梗塞、リウマチなどの全身疾患を悪化させてしまいます。
新型コロナウイルスに感染しても軽症ですむ方が多いなか、このような疾患がある方は重症化する傾向があるため、歯周病の方はそういった意味でも新型コロナウイルスが重症化してしまうリスクが高くなるのです。
新型コロナウイルスは同じウイルス性疾患として、今から100年ほど前に起こったスペインかぜと比較されますが、アメリカのプライス博士がその著書の中で驚くべき報告を発表しています。
スペインかぜが流行したアメリカとイギリスで調査したところ、「歯周病のある人の72%がスペインかぜにかかり、歯周病のない人は32%にとどまった」というのです。
また歯周病がある人は、ない人の4倍の死亡率であったと書かれています。
当時は衛生面の問題もあったでしょうし、今のように医療体制もしっかりしていなかったでしょうから、一概に比較することはできませんが、いずれにせよ歯周病の方は、新型コロナウイルスに十分注意を払った方がよさそうです。
逆に言えば、お口の中を清潔にして歯周病などがない健康な状態を保つことができれば、新型コロナウイルスに感染した場合でも重症化が抑えられる可能性が高くなるのです。
よって、普段から徹底した歯磨きと、定期的な歯のクリーニング(特に歯周病の方)は、感染症防止のために必ず行うようにしてください。
3 新型コロナウイルスによる味覚障害
口の中には、舌や頬粘膜など前述したウイルスを吸着する受容体が多く存在します。
このウイルスを吸着する受容体が多い舌の細胞が新型コロナウイルスに感染してしまうと、味覚を感じる味(み)蕾(らい)細胞がウイルスによって破壊されるため味覚障害が起きてしまうのです。
舌は、新型コロナウイルスが特に付着しやすいというデータが出ています。
ですから、舌についた細菌やウイルスを除去するために、少なくとも一日に一回は舌も磨きましょう。
専用のブラシで力をかけすぎず、丁寧に磨いてください。
〔新型コロナウイルス感染予防のまとめ〕
元気なからだは清潔なお口から!
緊急事態宣言は解除されましたが、まだ新型コロナウイルス感染の第2波、第3波が起こる可能性もあります。
お口の中に凶悪な細菌やウイルスを増やさないように、しっかりケアして病気を予防し、元気なからだで乗り切りましょう!
有賀歯科医院 ニュースレター No.25
まだ寒さが残りますが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
今回のテーマは
『よく噛める人、よく噛めない人?!』
1 低栄養
食べたいものが食べにくいという状態は、誰もが強いストレスを感じます。
ところが、最初は困ったと感じていても、これが毎日続くと食べやすいものにばかり箸が向くようになってしまって、食べられない状態に慣れてしまいます。
噛めなくなると、麺類やお菓子などやわらかいものを自然と食べるようになり、糖質過多になって血糖値が上昇します。
また、にんじんや大根などの根菜類も食べにくくなり、その結果、食物繊維が不足して便秘などの原因になります。
さらに、肉を噛み切ることができなくなるので、知らず知らずのうちに深刻なタンパク質不足になり、筋肉量が減って体力や免疫力の低下につながってしまいます。
つまりきちんと噛めないと低栄養(健康な生活を維持するための栄養が足りていない状態)になりやすくなります。
低栄養状態になると
- 体重が自然に減る(特に半年で3kg以上減ったら要注意!)
- 風邪を引きやすく、なかなか治らない
- 肌荒れや貧血、口内炎など粘膜に炎症を起こしやすい
- 転んだりつまずいたりしやすい
脚が細くなった、体重が減ってダイエットできたと喜んでいたら、実はただ単に筋肉量が減っていただけということも珍しくありません。
また、低栄養がきっかけで介護が必要な状態になることもあります。
2 認知症
噛めないままでいたりすると、低栄養の他に心配なのが認知症です。
下のグラフを見ていただくと、時間がたつにつれて認知症を発症していく方が増えていきますが、なかでも多かったのが、歯がほとんどなくて入れ歯を使っていない方です。
一方、歯がなくても入れ歯を使っている方の発症率は、歯が20本以上残っていて、自分の歯で食べている方とあまり変わりません。
つまり、歯がない方でも入れ歯をきちんと使ってよく噛むことで、自分の歯があるのと同程度に認知症の予防効果が得られるのです。
噛むことと認知機能には大変密接な関係があり、噛むことによって脳の血流が増え、認知機能が活性化されていることがわかっています。
噛めるお口は低栄養の予防だけでなく、認知症の予防にも大変重要です。
もちろん歯がそろっていても、入れ歯やインプラントを入れていても、やわらかいものばかり食べたり、早食いなどよく噛んで食べない方は、胃腸の消化や脳を活性化することはできません。
「一口30回噛み」と言われるように、なるべくよく噛んで食べる習慣をつけたいものです。
私たちの健康は、私たちが意識している以上に「噛めるか噛めないか」の影響を受けています。
歳をとっても生き生きとした生活を楽しめるアクティブシニアを目指して、働き盛りの頃から歯科の治療と予防指導を受け、大切な歯をしっかり守っていきましょう!
有賀歯科医院 ニュースレター No.24
寒さが本格的になってきましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
今回のテーマは
『奥歯がないと病気になりやすい?!』
です。
奥歯がないと、しっかり噛めないために苦手な食材が増えてきます。
治療をしないで奥歯のないままでいると、自分では意識していないのに、いつの間にか食の好みが変わって、煮込んだうどんとか、噛まずに流しこめるラーメン、カレー、ふわふわの菓子パンなど、糖質過多の食事になって、糖の摂取量が増えてしまいます。
あなたの内臓脂肪や血糖値がなかなか減らないのは、もしかしてよく噛めないお口に原因があるのかもしれません。
また、奥歯がないと食べ物が噛みづらいだけでなく、咀嚼した食べ物が飲みにくくなります(嚥下しにくくなります)。
その結果、むせたり、咳きこんだりして、食べ物が気管や肺の方に入って誤嚥性肺炎にもなりやすくなります。
さらに、奥歯に歯がないとどうしても無意識に前歯の方で噛むようになり、前歯に負担がかかり、だんだん前歯が前に出てきてしまいます(いわゆる出っ歯になってきます)。
歯科治療で噛めるお口に回復し、今の食生活を見直して、病気の発症や重症化を未然に防いでいきましょう!
1.奥歯の欠如は肥満と病気のもと!
奥歯のあるなしで噛む機能はどう変わる?(竹内博朗「平成28年度採択文科省科研費基盤研究C」より)
2.奥歯がないと筋肉量と筋力が低下する!
奥歯がないと次第に食べにくくなるもの、その代表格は「肉と野菜」です。
奥歯がなくて噛めない状態は、本来とても強いストレスを生みます。
その結果、ストレスを感じずに食べられる軟らかい食事を自然と好むようになり、糖質過多、低タンパク質、低ビタミン、低ミネラルに陥ってしまう人はとても多いのです。
肉だけでなく、魚、卵、乳製品などの動物性タンパク質と、豆腐、納豆などの豆類の植物性タンパク質をバランスよく食べることは、筋肉量を増やすのに欠かせません。
ただし、この筋肉量を維持するには、野菜に含まれるビタミンやミネラルが必要不可欠になります。
たとえば、
というように、野菜が足りないと筋肉を維持できにくくなるのです。
このように、タンパク質と野菜の摂取不足によって筋肉がやせはじめ、つまずきや転倒の原因になったり、持病の悪化と体力の低下というダブルパンチになってしまいます。
そうならないように、奥に歯がない場合は入れ歯やインプラントを入れて噛めるようにしたり、むし歯や歯周病がある場合はきちんと治すようにして、できるだけ左右バランスよく噛めるようにしましょう!
有賀歯科医院 ニュースレター No.23
あなたは甘いものがお好きですか?
ほとんどの方は「好きです!」とお答えになるでしょう。
チョコレート、ケーキ、スナック菓子、ジュースと甘くておいしい食べ物、飲み物が世の中にはあふれるほどあります。
これらに記載されている原材料名には、ほとんど「砂糖」と表記されています。
糖の働きと種類
砂糖は様々な疾患と関係し、むし歯、歯周病とは特に密接な関係がありますので、今回は砂糖の話題に触れてみたいと思います。
砂糖はエネルギー代謝や脳の働きに影響され、疲労回復に効果があったり、頭の回転が良くなると言われています。
また低血糖状態にならないためにも必要なものです。
でも砂糖は気をつけないと知らず知らず量が増えていき、むし歯、歯周病、肥満、糖尿病、うつ病、冷え性のリスクが高まります。
まずは特にむし歯に焦点を当てて、糖の種類についてお話していきます。
糖にもたくさん種類があって、下図にようにむし歯になりやすい糖となりにくい糖があります。
むし歯になりやすい糖とむし歯になりにくい糖
砂糖が血液に及ぼす影響
砂糖がむし歯の原因であるということは周知の事実ですが、その他にどのような悪影響があるのでしょうか?
甘いものが特に大好きな人は、細菌やウィルスに対する抵抗力が弱くなります。
私たちの身体には病気に対して抵抗する力、治そうとする自然治癒力が備わっています。
その役割は主に血液が関与しますが、なかでも血液の中の白血球が体内に侵入してきた細菌やウィルスを素早く発見して食べてくれます。
でもこの大切な作用も砂糖を摂り過ぎることによって、白血球の細菌を食べる力が弱められてしまうのです。
つまり砂糖は血液を汚し、流れも悪くして、白血球の能力を驚くほど低下させ、病気に対する抵抗力、治癒力を低下させてしまうのです。
砂糖が骨に及ぼす影響
本来血液はアルカリ性ですが、強い酸性食品の砂糖が過剰に摂取されると血液が酸性になります。
この酸性化した血液を元の状態に戻す働きをしてくれるのがカルシウムです。
ところが、強い酸性食品である砂糖を習慣的に必要以上に摂取すると、細胞や筋肉内にあるカルシウムでは間に合わず、血液の酸性化を防ぐために歯や骨を溶かしてカルシウムを集めて中和することになるのです。
その結果、歯の質は弱くなり、歯を支えている骨が溶けてしまうので、むし歯だけでなく歯周病も悪化してしまいます。
さらに骨が溶けてしまうわけですから、骨粗鬆症も進んでしまうことになります。
砂糖との上手な付き合い方
- 砂糖の含まれた食べ物や飲み物をやめることは到底できませんから、甘いお菓子やジュースは一日に何回もとらず、またダラダラ食べたり飲んだりすることはやめましょう。
- むし歯になりにくい糖(甘味料)をとるのが一番いいのですが、そういう製品はガム・キャンディ・チョコレートなど非常に限られています。
歯のブラッシング、クリーニング、そしてキシリトール入り(できたら純度100%)のガムを咬んで、予防に力を入れましょう。
※入れ歯の方、ガムが苦手な方はキシリトール入りのキャンディ(タブレット)がおすすめです。
キシリトールタブレット
3.むし歯菌(主にミュータンス)がもともと多い方が砂糖を多量に摂取すると、むし歯になるリスクがかなり高まります。 むし歯菌が多いか少ないかがわかる検査を受けていない方は、一度調べてみてはいかがでしょうか!
むし歯原因菌の数を検査するキットの一部
甘いものを食べると本当に幸せを感じます。
でも砂糖中毒にならないよう、ほどほどにして、あなた自身の歯や身体を守ってください!
有賀歯科医院 ニュースレター No.22
梅雨の季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
今回は前回に引き続いて、「唾液」と「ドライマウス(口腔乾燥症)の対処法」についてくわしくお話します。
1.口の中を清潔にする自浄作用
食後は舌の上や頬の隙間、歯の間などに食べかすがたくさん残ります。
食べかすが残るということは、もっと小さい細菌やウイルスは数多く口の中に停滞しているということです。
サラサラした唾液が多く出れば、それらの細菌やウイルスを流してくれて、むし歯や歯周病、その他の病気になりにくくしてくれます。
逆に唾液がいくら多くても、ネバネバした唾液は自浄作用が弱くなってしまいます。
リラックスして楽しいときは、サラサラした唾液が分泌され、会話や食事が円滑に行えるようになり、
病気に打ち勝つ免疫力も維持されています。
しかしストレスを強く感じると、サラサラした唾液は減って、ネバネバした唾液が多く分泌され、
免疫力も低下していきます。
口の中がネバネバしたときは要注意!
2.消化作用
唾液に含まれるアミラーゼという酵素が、ごはんやパンなどのデンプン質を糖に分解し、糖を吸収しやすくしてくれます。
食べ物を何回も良く噛んで食べれば、唾液での消化が進み胃の負担も軽くなります。
3.抗菌作用
口は消化器のはじまりであり、、食道を通って胃につながっていますが、気管支や肺にも連絡しています。
また口や喉とは直接隣接し、そればかりか目や耳にもつながっています。
このように口は全身とつながり、すべての病は口から起こるといっても過言ではありません。
会話のときの口呼吸や飲食に伴い、外界の細菌やウイルスが口から体内へ取り込まれます。花粉や排気ガスや化学物質も口から入ってきます。
ほとんどの病原菌は口から侵入してくるのです。
こうした病原菌を唾液に含まれる抗菌物質が防御してくれます。
4.粘膜保護作用
唾液に含まれるたんぱく質が、フランスパンやクッキーのような硬いものが接触しても傷がつかないように、口の粘膜をコート(保護)しています。
5.粘膜修復作用
唾液には傷を治す成長因子や、脳神経の老化を防止する神経成長因子が含まれています。
動物が傷口をなめるのは、唾液の抗菌作用を利用しているだけでなく、傷の修復を促進させていると考えられています。
前回も唾液量をアップするために、食べ物をよく噛むことや唾液腺マッサージについてお話ししましたが、その他の方法についてお話しします。
1.水分を補給する
水分補給には水がベスト!
水を適度に補給することでお口の乾燥を防ぎ、かつ唾液分泌の促進を図ることができます。
①水の摂取量の目安は、常温でコップ一杯(約200cc)を一日4回
②水を飲む時間の目安
1.朝起きてすぐの歯磨き後
2.午前10時頃(朝食と昼食の後)
3.午後3時頃(昼食と夕食の間)
4.午後9時頃(夕食と就寝時の間)
5.その他、喉が乾いたとき
★お茶の飲み過ぎに注意!
緑茶やウーロン茶などのお茶は、水分補給の意味では逆効果。
お茶にはカフェインやテオフィリンが含まれているために利尿作用が強く、その結果尿の量が増え、水分が体外に排出されるために、常に口の中が乾く状態になります。
★唾液と血液の関係
唾液と血液は非常に似かよっており、唾液がネバネバ・ドロドロする時、血液も同様にドロドロしています。
そのため血液をサラサラにするためにも、唾液と同じようにまめに水分補給しましょう!
2.コロコロガム法
①ガムを味がなくなるまでよく噛みます(⇒唾液が分泌)
②さらにガムを口の中で球体にして、舌の上でコロコロ転がします。(噛まない)
(⇒舌が球体となったガムを異物と認識し、「異物反射」により唾液の分泌を促進)
③しゃべるときは上あごの奥の頬と歯ぐきの間にガムをはさむ。
(⇒耳下腺を刺激して、さらに唾液が分泌)
④毎食後1粒、一日3回噛んでその後に歯磨きをする。
⑤ガムは、むし歯予防の高いキシリトール入り(純度100%に近い)ガムを選ぶ。
3.口呼吸をやめる
外を歩いていると、口をポカンと開けた人をよく見かけます。
口呼吸をしていると、口の中が乾燥し、唾液の自浄作用や免疫力が低下するので、風邪やインフルエンザ
などの病気にかかりやすくなります。
前歯が出ているなど歯並びが悪かったり、鼻炎で鼻がつまりやすい人は口呼吸になりやすいので、それを治す治療が必要です。
4.薬剤の種類・量を減らす
現在700種類以上のお薬が口腔乾燥を引き起こすと言われています。
抗うつ剤、抗不安薬、抗てんかん薬、”
抗パーキソン病薬、降圧剤、利尿剤、抗アレルギー薬、気管支拡張剤など多数にのぼります。
もし服用している薬剤による唾液分泌低下が考えられる場合は、副作用の少ない薬剤への変更や量を減らす必要があります。
患者さん自身で勝手にできることではないので、主治医とよく相談の上決めてください。
5.保湿剤、唾液分泌促進剤、漢方薬を利用する
簡単に口の中をうるおすには、保湿剤を乾燥する場所(舌、頬の内側、上あご、歯ぐきなど)に塗ってマッサージしたり、必要な場合は唾液の分泌を促進する薬剤の服用が効果的です。
6.口の機能を上げるトレーニングをする
①舌を前に出したり、引っ込めたりする
②舌をくちびるの内側で回す
③舌で上あごをなめる
④舌で頬の内側を強く押す
⑤頬を大きく膨らます
⑥「イー・ウ―運動」 口をイ―とする、口を尖らせる
地球の温暖化や緑地の減少などの環境、食生活の変化によって、昔に比べて口が乾く人がどんどん増えています。
自動販売機やコンビニには多種多様の飲み物が並べられ、ペットボトルをいつも持ち歩いている人もよく見かけます。
あたかも私たちのカラダが、水をもっともっと欲しているかのようです。
もしご自身の口が乾きやすい、唾液が少ないと感じたら、前回と今回お話しした対処法をぜひ試してください。
また唾液が少ない方は、むし歯や歯周病が多発、進行しやすかったり、入れ歯が合わなくなったりします。
その場合はぜひ唾液検査をして、早めに治療をしたり、定期検診やクリーニングをする間隔を短くして、お口や全身の健康を維持して下さい。
有賀歯科医院 ニュースレター No.21
春の陽気が待ち遠しい今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
お口が乾く、お口の中がネバネバする、舌がヒリヒリする・・・
そんな症状が気になっていませんか?
お口の乾燥感の原因のひとつとして、唾液分泌量の低下があげられます。 今回は、唾液の役割の大切さと、唾液量をアップさせるケアについてご紹介します。
唾液が減るとどうなるでしょうか?
お口の乾燥サイン
唾液が減ると・・・
慢性的に口が乾く「ドライマウス」によって、いろいろなトラブルが引き起こされます。
・むし歯や歯周病のリスクが高くなる
唾液の量が減ると、お口の中の洗浄作用が少なくなり、いつまでも食べ物がお口の中にとどまってしまいます。
また、飲食物によってお口の中の酸性度が高まり、歯のエナメル質が溶け始めてしまいます。
・味覚障害を起こすことがある
・口臭が強くなることがある
・口腔カンジダ症が起こることがある
唾液に含まれる抗菌物質や歯を保護する成分が形成されにくくなることで、お口の中が菌に弱い環境になってしまいます。
・入れ歯がはずれやすくなる
どうして唾液が減るのでしょうか
唾液は唾液線でつくられます。血液を材料として、自律神経が唾液が作られる量を調節しています。
唾液の減少には様々な原因があり、唾液線がいたんでいたり、自律神経のバランスが乱れていたり、血液がうまく運べていなかったりといったことなどがあります。
原因の特定には、唾液量の測定、唾液線の画像検査、血液検査など様々な検査が必要です。
【当院で行っている唾液検査の一例】
唾液が少なくなりやすい方とは
お口の乾燥を感じる患者さんには女性が圧倒的に多く、年代別に見ると50歳代から急激に増加します。
女性は45~55歳頃に女性ホルモンが低下するため、更年期を迎えます。
この女性ホルモンの低下がお口の乾燥感と関係しているといわれています。
また、高齢になると高血圧などの全身的な病気を持つ方が増えてきます。その治療薬の副作用や、 糖尿病・甲状腺機能疾患などの病気そのものの影響でお口の乾燥を感じることも多くあります。
さらに、最近では若い方にも、仕事や受験勉強などのストレスが原因でお口の乾燥がみられるように なっています。
ストレスがかかると交感神経が働き、唾液腺からネバネバした唾液が分泌されることも関係しています。
唾液量をアップさせるには
お口の乾燥の治療には、保湿ジェルを使用していただいたり、医科で唾液の分泌を治療する薬や漢方薬を処方してもらうこともできます。
その他にも、日常生活において患者さん自身でケアを行うことで、唾液腺のはたらきをある程度良くすることができます。
- 食べ物をよく噛んで食べる
- 唾液の分泌をよくするような食品を積極的に食べる(梅干し・レモン・酢の物など) 刺激性のある香辛料などは避ける
- キシリトール入りガムをよく噛む
- 唾液腺マッサージ
定期検診でお口の環境改善
ドライマウスがあると、むし歯や歯周病が悪化したり、口内炎ができやすかったりしますので、 定期的なクリーニングやブラッシング方法の確認を受けることが大切です。
また、治療の時に唇やお口の中が乾いてつらい時は、保湿クリームをつけるなど配慮しますので、 スタッフに遠慮なくお申し出ください。
✡ご希望の方は唾液検査もいたします。
有賀歯科医院 ニュースレター No.20
季節のご挨拶
日ましに秋の深まりを感じる頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
ニュースレターNo.19では、誤嚥性肺炎が起こるしくみと予防法についてご紹介しました。
誤嚥性肺炎とは、食べ物やお口の中の細菌が誤って肺に入ることにより、引き起こされる肺炎です。
特にご高齢の方や入院中の方に起こりやすいと言われており、昨今国民の関心が非常に高まっています。
誤嚥性肺炎の方の肺から、お口の中にいる細菌が見つかることが多く、適切な口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防につながることがわかっています。
今回はお口の中の細菌や誤嚥性肺炎について、さらに詳しくお話ししていきたいと思います。
お口の中の細菌
一体、お口の中のどこに細菌はいるのでしょうか?
歯だけではありません。
歯肉、歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)、舌、頬の内側の粘膜、上あごの粘膜、のどの粘膜、唾液、そして入れ歯などに、驚くほど多数の細菌が存在しているのです。
あなたのお口の中はいかがでしょうか?どのくらいの数の細菌がいるでしょうか?
また就寝中は唾液の分泌がほぼ止まり、唾液で細菌を洗い流したり、中和する作用が働かなくなります。
このため、細菌は一晩で1000倍ほどに増殖してしまいます。
↑夜寝る前のブラッシングがとても重要な理由です。
また、お口の中には約700種類もの菌がいます。
最も多く存在するのが、虫歯の原因菌であるミュータンス菌などのレンサ球菌です。
その他、酸を産生するラクトバチリス菌、歯周病に関係の深い桿菌やスピロヘータ、カビの一種であるカンジタ菌などもいます。
これらの細菌は、普段は体とバランスを保って存在していますが、免疫力が低下したりすると増殖して、むし歯や歯周病その他の病気の原因となることがあります。
誤嚥性肺炎の患者さんの肺から、上記のレンサ菌球菌や、カンジタ菌などが見つかることが多く、口腔ケア(適切なブラッシングや定期的なクリーニング)がいかに大切か!ご理解頂けると思います。
誤嚥性肺炎の症状
肺炎は普通、発熱やせき、たんなどの症状がありますが、厄介なことに誤嚥性肺炎においては、初期段階ではわかりやすい症状が見られないことが多いので、気付いた時には手遅れというケースも多々あります。
・喉が常にゴロゴロ鳴っている
・食事中に頻繁にせき込む
・唾液がうまく飲み込めない
・原因がはっきりしない発熱や倦怠感がある
といった症状が長く続く場合は、誤嚥性肺炎を疑った方がいいかもしれません。
さらに、脳梗塞などを経験したり、寝たきりの方、睡眠薬を常用していたり、歯周病やむし歯のある方は要注意です。
誤嚥性肺炎の治療
誤嚥性肺炎は、いったん発症すると、自然治癒することはないので、専門的な治療が必要になります。
呼吸器内科というところで、胸部レントゲン検査などをした後、抗生物質による薬物療法が必要となります。
しかし、治療後にきちんと食べ物を飲み込めるよう、リハビリもしっかりとしてくれる誤嚥性肺炎に強い病院はまだ少ないのが現状です。
誤嚥性肺炎の予防
65歳を過ぎれば5年に一度、肺炎のワクチン接種がありますので、もう受けられた方もいるかもしれません。
でも誤嚥性肺炎は、口の中に常在する複数の細菌の混合感染であるため、残念ながら予防ワクチンはありません。
ですから自分で意識して予防していかなければなりません。
前回のニュースレターでも述べましたが、誤嚥性肺炎の予防法について以下くわしく述べていきます。
1.意識的にせきをする。意識的につばを飲み込む。
人間は1日に約500回つばを飲み込むと言われていますが、これは多ければ多いほど良いです。
特に食事の前には、唾液を5,6回飲み込んでから食べると、むせにくくなります。
2.口腔ケアをしっかりする
歯だけなく、舌や上あご、頬の内側なども磨きましょう。
さらに入れ歯には、誤嚥性肺炎の原因となるカンジタ菌が付着しやすいので、入れ歯を触ってヌルヌルしていたら要注意です!
ブラシや入れ歯洗浄剤を使って、徹底的に除菌してください。
定期検診のときは、私たちがさらにお口の中や入れ歯の菌を減らします。
3.「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」
うがいでお口の中をきれいにして、さらにのどの筋力もつけて、食べ物をきちんと飲み込めるようにしましょう。
4.誤嚥しやすい食べ物に気をつけましょう!
・もちやかまぼこ、こんにゃくなどの弾性があるもの
・ゆで卵や焼きイモなどの水分の少ないもの
・すっぱい食べ物
これらは誤嚥しやすい食べ物なので、なるべく食べるのを控えたり、調理方法を工夫して食べるようにしましょう。
(例:ゆで卵を半熟にする。もちや焼きイモは小さくして食べる)
これは最近増えている「窒息」の予防にもなります。
5.ながら食事はやめましょう!
テレビを見ながらとか、新聞を読みながら、あるいはスマホをいじりながらなど、”ながらの食事”は誤嚥する
可能性があります。
食事の時は食べることに集中するように心がけましょう。
6.早食いはほどほどに!
現代社会で何かとせわしく、食べる時間も十分にとれないときもあるかもしれません。
でも若いときから早食いの習慣がついてしまうと、よく噛まないで飲み込みますから、むせたり、せきこんだり
して、食べ物や細菌を肺に入れてしまう回数が増えてしまいます。
しかも、だいたい早食いの方は歯磨きをする時間も短い傾向があります。
若いときからできるだけ時間をよくとって、よく噛んで食べるようにしましょう。
「食べ物をよく噛んで、口腔ケアをきちんとする!」これが誤嚥性肺炎の最大の予防用です。
あなた自身の健康のためです。
是非普段から心がけて、健康を維持していきましょう!
有賀歯科医院 ニュースレター No.19
夏の暑さを感じる今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
今回は、前回ご紹介した「オーラルフレイル」によって起こりやすくなる「誤嚥性肺炎」についてお話します。
誤嚥性肺炎とは
肺炎の大部分は、細菌やウイルスの感染が原因で起こります。
特に、食べ物、唾液、胃液などが誤って肺に入り、肺に炎症を起こしてしまうのが「誤嚥性肺炎」です。
ある調査によると、肺炎での入院患者のうち、60歳代で6割、70歳代で8割、 80歳代になると9割以上が誤嚥性肺炎だということです。
誤嚥を起こすのは高齢者だけのように思われがちですが、実は若い世代でも寝ている間に 唾液を誤嚥しているという説があります。
ただ若い世代は免疫力が強いために、たまたま肺炎にまで至らないだけであって、夜寝る前に 十分に歯を磨かないと、たくさんの細菌が混じった唾液が誤って肺に入っているかもしれません。
いずれにせよ、若年者も高齢者も普段から肺炎予防に注意しておく必要があります。
誤嚥性肺炎が起こるしくみ
人間ののどは、呼吸をする(気管)と食べ物が通る道(食道)が交差しています。
(これは動物の中で人間だけです)
食べ物が入ってきて、人間が「ゴックン」と飲み込む、わずか一秒足らずの瞬間だけ、 気管の上についている喉頭蓋という、のどのフタが倒れ、気管の入り口をふさいでくれているのです。
(下図参照)
このように、人間の体だけは、この複雑なメカニズムによって、食べ物を気管に入れることなく無事に食道に送り込むことができます。
この喉頭蓋というのどのフタは、体の外から見える「のどぼとけ」の奥にあります。
物を飲み込むと「のどぼとけ」が上下に動きますが、これはのどのフタ(喉頭蓋)が下りるときの動きなのです。
つまり、脳の機能が衰えて、のどのフタが下りるように脳からの命令の信号が正常に作動しなかったりのど周辺の筋力が低下すると、気管に食べ物やバイ菌が入って誤嚥性肺炎になりやすくなってしまうのです。
(また、誤って気管に入ってしまった食べ物や異物が詰まってしまい、 息ができなくなる「窒息」も同様に起こりやすくなりますので要注意!)
では、誤嚥性肺炎にならないためにはどうしたらいいでしょうか?
誤嚥性肺炎の予防法
1.意識的にせきをする、意識的につばを飲み込む
①気管に入り込んだ異物を吐き出す力をつけるために、折りを見て「ゴッホン!」とせきをする練習をする。
(注:ただし、周囲に人がいる場合は控えてください。たぶん嫌な顔をされると思います。)
②あなたは30秒間に、つばを「ごっくん!」と何回飲み込むことができるでしょうか?
3回未満だと異常、6回できれば正常と言われています。
唾液を5,6回飲み込んでから、食事をするとむせにくくなります。
普段から「ごっくん!」とつばを飲み込む練習をして、「飲み込む力」をつけましょう!
2.口腔ケアをしっかりする
口腔を綺麗にケアしていれば、たとえ誤嚥しても肺炎になる確率はぐっと低くなります。
人によって差はありますが、口の中には1000億以上、700種類近くの細菌がいます。
歯だけではなく、舌や上あご、インプラントや入れ歯のお掃除もしっかりとしてください。
(入れ歯についたカンジタ菌も誤嚥性肺炎の原因になります)
そして、定期的にお口の中のプロフェッショナルクリーニングをすれば、もっとばい菌を減らすことができるでしょう。
3.「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」
よく歯磨きをしたあとは、さらに念入りにうがいをしましょう。
まず、「ブクブクうがい」をして、口の中のばい菌を取り除き、口の中の粘膜をきれいにします。
その後「ガラガラうがい」をして、のどを刺激することにより、のどの筋力をつけます。
うがいは風邪やインフルエンザなどの感染予防にもなりますし、口やのどの運動にもなります。
他にも、誤嚥性肺炎の予防法はありますが、今回はどなたでもいつでもできる方法をご紹介しました。
とても簡単なことですが、これを続けてすることによって、かなり肺炎を予防できます。
ぜひ意識してやってみてくださいね。
有賀歯科医院 ニュースレター No.18
日ごとに暖かさを感じられるようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
「オーラルフレイル」という言葉をご存じでしょうか。
「オーラル(oral)」とは「口腔」という意味、「フレイル(Frailty)」とは「虚弱」「年齢に伴って心身の活力が低下する状態」という意味です。
つまり「オーラルフレイル」とは食べ物を満足に咬むことができない、飲み込みづらい、食べこぼす、むせる、口が乾く、滑舌が悪いなど口の機能が衰える状態のことを言います。
食べ物が食べにくくなれば、栄養状態も悪くなり、身体全体の機能も低下します。
脳機能の衰えは認知症を招くことにもなりかねません。
滑舌が悪くなると人と話すのが面倒になり、社会的に孤立してしまうこともあります。
「オーラル・フレイル」はやはり高齢者によく見られる状態ですが、最近では、やわらかい食べ物ばかり食べたり、よく咬まないで飲み物で流し込むような食生活を送る、中年・若年層にも拡がってきています。
よってお口の機能の低下を防ぎ、回復させることが身体全体、ひいては精神的な健康につながっていくのです。
今回はこの「オーラルフレイル」を予防するための効果的な対処方法についてご紹介します。
オーラルフレイルの段階
つまり、歯が少なくなると食欲が低下して、エネルギーの摂取量が減少します。
(歯が少なくてもよく咬める入れ歯を入れていれば問題はありません)
咬み合わせが悪かったり、よく咬めないことも、たんぱく質などの摂取量の低下、低栄養リスクにつながっていきます。
さらに、握力や歩行機能も低下してきます。
オーラルフレイルの対処法
1.早食いはやめて、よく噛んで食べる(一口30回噛み)
2.歯がないところは、ブリッジ・入れ歯・インプラントなどを入れて左右均等に噛めるようにする。
3.入れ歯の方はきちんと咬めるようにして、はずした状態で咬むことはしない。
(はずしたままだと食べ物がだんだん飲み込みにくくなってくる)
4.たんぱく質(肉・卵・乳製品など)をしっかり摂って栄養をつける
5.意識して唾液を飲み込む→食べ物を飲み込む力をつける
6.よく会話する(歌を歌う)→口の周りの筋力をつける
7.必要に応じて、唾液腺のマッサージ・唇・舌・口の周りの筋肉の運動をする
(下図【健口体操】)
顔・舌の体操とストレッチ
食べるという動作は、身体のさまざまな部位が連携して行われますが、中でも唇と頬、舌の動きが重要です。
頬の動きがよくないと舌の動きも抑えられ、咀嚼運動が妨げられます。
安全に食べるためには、ストレッチによって筋肉をリラックスさせ、動きをよくすることが大切です。
【健口体操】 口輪筋、咬筋、頬筋などの動きを良くするための運動です。
いつまでも元気な高齢者の方はお口の状態を健康な状態に保っています。
健康長寿のために、「オーラル・フレイル」の兆候を早めに察知して、
それに合った対策をしていきましょう!
有賀歯科医院 ニュースレター No.17
寒さも本格的になってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
前回のニュースレターでは、骨粗鬆症と、骨粗鬆症の場合に投与される薬と歯科治療との関係についてご紹介しました。
骨粗鬆症は骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気で、男性より女性の患者さんが3倍ほど多くなっています。
男性にとっても無関係ではなく、高齢になると骨の構造が変化して骨折しやすくなることがあります。腸管からのカルシウムの吸収力の低下が原因とも言われています。
今回は骨粗鬆症による骨折の予防の基本となる、食事や運動についてご紹介します。
食事
1.カルシウム・ビタミンD・ビタミンK
骨の健康維持に重要な栄養素として、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKがあげられます。
加齢にともない骨密度は減少しますが、十分な骨密度を保つためには、カルシウムをしっかりと摂取するとともにカルシウムの吸収を促す栄養素を摂取することが大切です。
カルシウムとビタミンDを同時にとることで、腸管でのカルシウムの吸収が良くなります。
すでに骨粗鬆症薬であるビスフォスフォネート製剤などを服用している場合にも、骨の形成を促すために食事療法は大切です。
カルシウムを多く含む食品(骨の材料となる)
牛乳 乳製品 小魚 干しエビ 小松菜 チンゲン菜 大豆製品など
ビタミンDを多く含む食品(骨代謝をさかんにする)(腸管からのカルシウム吸収促進)
サケ ウナギ サンマ メカジキ カレイ シイタケ キクラゲなど
ビタミンKを多く含む食品 (骨の形成を促す)
納豆 ホウレン草 小松菜 ニラ ブロッコリー キャベツなど
※ビタミンDは日光に当たることで皮膚で生成されます。夏季は1日30分、冬季は1時間の日光浴が推奨されています。
2.その他の栄養素・食品
骨(特に骨基質の重要な成分であるコラーゲン)の構成成分であるたんぱく質の摂取も大切です。
たんぱく質の摂取量が少ないと骨強度の低下につながりますので、食事量が少なくなりがちな方は気をつけてください。
また、コラーゲンを生成する上で必須な栄養素となるビタミンCを摂るために、果物・野菜の摂取も推奨されています。
たんぱく質(骨の構成成分)
肉 魚 卵 豆 牛乳 乳製品など
ビタミンC(コラーゲン合成のための必須栄養素)
果物 野菜
3.過剰摂取を避けた方がよい食品
・リンを多く含む食品 (しらす干し・プロセスチーズ・いくらなど)
リンは骨や歯を作る働きを持っていますが、加工食品や食品添加物などに含まれていて、不足することはあまりありません。過剰摂取すると骨からカルシウムが放出され、骨のカルシウム量が減少すると言われています。
・コーヒー、紅茶などのカフェインを多く含む食品・アルコールなど
利尿作用によりカルシウム排泄を促進します。
・コーラ、ジュースなどの炭酸飲料
カルシウムが吸収されてしまいます。
運動
運動不足は骨密度を低下させる要因です。
骨にカルシウムを蓄えるためには、「体重をかける」ことが大切。
骨密度の低下防止に特に有効な運動は、ウォーキング・ジョギング・エアロビクスなどです。
日常生活の中でも、階段の上り下りや散歩などを取り入れ、運動量を増やすだけでも効果があります。
特に閉経後の骨量減少・骨粗鬆症の女性のウォーキングによる腰椎・大腿骨骨密度の増加が報告されています。
骨粗鬆症が進行して骨がもろくなると骨折しやすくなります。
特に背骨、手首、足や腕のつけ根の骨が骨折しやすくなり、体を支える力が失われる原因になってしまいます。
足のつけ根付近の骨の骨折はそのほとんどが転倒によるものです。
食事療法、運動、日光浴などを含めた骨粗鬆症予防が転倒・骨折を防ぐことにつながります。
運動による転倒防止効果も報告されています。
バランス訓練(フラミンゴ療法)は、片足で立っている時間を増加させて、転倒の発生を防ぐことがわかっています。
※フラミンゴ療法 : 体を支えながら片足を上げる訓練を片足につき1分、1日に3回行うもの。
骨粗鬆症により骨が弱くなり骨折を起こすと、日常生活の質は著しく低下してしまいます。
骨粗鬆症と骨折の予防の基本となるのは栄養バランスのとれた食事と運動です。
今回の内容をぜひ参考にしていただき、日頃からできる範囲で取り組んでいただければと思います。
参考文献:臨床婦人科産科 2016.Vol70.No11
臨床医のための実験医学シリーズ16 「骨・カルシウム代謝の調節系と骨粗鬆症」
院長から一言
骨粗鬆症というと、どうしても骨密度が高いか低いかということで判定されがちですが、骨の質もとても重要です。
骨が強いかどうかということ(骨強度)は、骨密度と骨質の両方によって決まるからです。
骨密度が高くても骨折してしまう人は、この骨質が劣化している可能性があり、骨質が良ければ多少骨密度が低下しても骨折しにくいと言われています。
骨質で特に大事なのが骨のしなやかさです。
硬い木の枝でもしなやかさがないと強風で折れてしまうことがありますよね。
骨も骨量が多く、ただ硬ければいいというものではないのです。
ですから、この骨質を高めるために、カルシウム、ビタミンD、Kはもちろんのこと、コラーゲン(たんぱく質)
やビタミンCなども積極的に摂取する必要があります。
まずは食事と運動!薬だけでは骨粗鬆症は改善しません。
歯やインプラントも周囲の骨が溶ければ、歯もインプラントもぐらついて噛みにくくなります。
入れ歯の土手となる歯ぐきの下の骨が溶ければ、入れ歯も動いて噛みにくくなります。
骨粗鬆症はあごの骨にも悪影響を与えます。
あなたも今一度、自分の食事や運動を見直してみませんか?
有賀歯科医院 ニュースレター No.16
連日厳しい暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じて、より健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
いろいろな持病の治療のために、お薬を服用している方も多いと思います。
お口とからだの病気との間には大きな関係があります。
お口の病気が全身の健康に影響する一方で、いくつかの持病の治療薬が歯科の治療に影響を与えることがあるのです。
今回はその中でも骨粗鬆症治療に使われる「ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)」について、歯科治療に与える影響をご紹介します。
1.骨粗鬆症とは
骨量の減少と骨組織の構造の異常の結果、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。
骨は古い骨の吸収と新しい骨の形成を繰り返していますが、骨の吸収が骨の形成を上回ると、骨密度が減少して骨の中がスカスカになってしまいます。
骨質と骨密度の低下により骨折しやすくなると言われていて、股関節や手首などの骨折が起こりやすくなります。
原発性骨粗鬆症 (原因となる病気がない骨粗鬆症で、全体の90%)
●加齢によるもの
骨密度は50歳くらいから急激に低下します。腸からのカルシウムの吸収が悪くなることも原因のひとつと言われています。
●更年期、閉経後骨粗鬆症
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、骨吸収をゆるやかにする働きを
持っています。エストロゲンの分泌が減少することで、骨吸収が進みやすくなります。
閉経後10年を過ぎた頃に20~27.5%の骨量が減少すると言われています。
●ダイエット
体内のカルシウムの99%は骨に蓄えられ、残り1%は血液や組織に含まれていて、いろいろな臓器を動かしています。
無理なダイエットでカルシウムが不足すると、常に骨からカルシウムを補充しなければならなくなって、骨量が減少することがあります。
続発性骨粗鬆症 (内分泌疾患や代謝に関係あるものなど)
●生活習慣関連骨粗鬆症
糖尿病、慢性腎臓炎など
●薬物性骨粗鬆症
特にステロイドによるものに注意が必要
2.ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)
骨粗鬆症の治療には、活性型ビタミンD3製剤(カルシウムの腸管からの吸収を増す)ビタミンK製剤(骨形成を促す)・女性ホルモン製剤・ビスフォスフォネート製剤などの薬が主に使用されます。
このうち特にビスフォスフォネート製剤(BP製剤) の服用をしている方は、歯科治療を受ける際に注意が必要です。
このようなお薬を飲んでいませんか?
骨粗鬆症の予防治療に処方される代表的な薬の例です。
BP製剤には、注射薬と内服薬(飲み薬)があり
・骨粗鬆症
・悪性腫瘍骨転移(乳がん、肺がんなど)
・多発性骨髄腫
・骨ページェット病
・副甲状腺機能亢進症
・ステロイド性骨症
などの治療に幅広く使用されています。
からだの中ではたえず古い骨は壊され(骨吸収)、新しい骨が作られています(骨形成)。
歯の周りにある歯槽骨でも同じことが行われています。
BP製剤は骨吸収を行う破骨細胞の働きを抑える薬剤で、骨が吸収されることを抑えます。
3.ビスフォスフォネート系薬剤関連顎骨壊死
幅広く応用されているBP製剤ですが、継続的に使用していると、抜歯などの傷がきっかけで顎の骨が壊死するという副作用が起きることがあることが分かっています。
発症頻度は骨粗鬆症の内服薬の場合0.04%に、注射用製剤の場合は0.4~40%が発症すると報告されています。また、注射用製剤の方が顎骨壊死の症状が大きく、予後も悪いとされています。
発症頻度はそれほど高いものではありませんが、ひとたび起きると治りにくく、発症する前に予防することが望ましいです。
また、発症した時必ずしも痛みや腫れなどの症状が起こるわけではないことも発見を遅らせる原因となっていますので注意が必要です。
骨粗鬆症患者さんに発症した顎骨壊死の症例
乳がんの骨転移によりBP製剤の投与を受けている方の顎骨壊死の症例
4.ビスフォスフォネート系薬剤関連顎骨壊死を発症させないために
BP製剤による骨壊死は、顎の骨にしか起こらないことが分かっています。
さらにBP製剤には、口腔内細菌感染を促進する可能性があることも報告されています。
よって口腔衛生の徹底により口腔内細菌数を減らしておけば、発症をある程度予防することができます。
BP製剤による治療を始める前に、
定期検診によるメインテナンスを継続的に受けて、口腔内の管理をきちんとしておきましょう!
「現在のBP製剤内服状況」「将来内服する可能性」をお知らせください
初診時問診票に服用しているお薬を記載していただく他、問診時に服用期間などをお聞きすることがあります。
また、ご来院の間隔があいた場合、新しく服用し始めたお薬がないか確認するために再度問診票を記入していただいたり、お薬手帳を拝見させていただくこともあります。
BP製剤は骨粗鬆症の予防のために、50歳くらいから服用をすすめられている方も多いですので、服用している場合は薬剤名を先生かスタッフにお知らせください。
安全に歯科治療を受けていただくために、ぜひご協力ください。
当院の問診票(再診時)の一部
抜歯などの外科処置にあたっての休薬について
抜歯などの外科治療が必要な場合は、医科の治療医と連携をとって歯科治療の準備のための休薬を行います。
休薬するとBP製剤の影響が減ってきますので外科治療に適した状態になります。
(※投与期間が3年未満で、他に病気などの問題がない場合は原則的に休薬は不要です)
ただ、がんの転移を防ぐためにBP製剤の投与を受けている患者さんにとっては、休薬は望ましくないことが多く、外科処置の治療を優先することが多いです。
患者さんによって状況は異なりますので、服用期間や外科処置の必要性を踏まえて判断する必要があります。
次回は骨粗鬆症を予防するための方法をご紹介します!
有賀歯科医院 ニュースレター No.15
日中は汗ばむほどの陽気となりました。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
ニュースレターNo13・No14では、「口内炎」と総称される様々なお口の中の炎症症状についてご紹介しました。
口内炎はストレスなどの体力低下や栄養の不足が原因のひとつになることがあります。
このような症状は口内炎の他にも様々なものがあり、つらい症状の改善に栄養バランスのとれた食事が重要になる場合があります。
口腔に現れる様々な症状
口角炎
お口の端が横にさけるように切れ、痛みが生じる口角炎。
お口をあけるときに痛み、つらい思いをされる方もいます。
口角炎の原因菌は常在菌のカンジダ菌で、免疫作用の低下などにより増殖して症状を起こします。また、シェーグレン症候群やドライマウスの症状のひとつとしてみられることもあります。
治療としては抗真菌薬やビタミン剤、軟膏が処方されて、3日くらいで改善することが多いですが、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。
舌炎
舌が赤くなっている場合、血液濃縮や循環不良が起きていると考えられます。
また、発熱や炎症などで血液の増加がある場合も舌の赤みが増します。
・脱水傾向・高熱・重度の肺炎・化膿性感染・慢性消耗性疾患・喫煙・水分の欠乏
などの全身状態が影響していることがあるとされますが、栄養素としてビタミンB群の欠乏も疑われます。
院長の『健康長寿アドバイス』
このコーナーでは、私、院長がお口の健康だけでなく、全身の健康の維持・増進のために役立つ情報を当院にいらっしゃる患者さんに伝えていきたいと思います。
もちろんすでにご存じのこともあるかもしれませんが、その場合は自分が正しく実行できているかどうか、確認の意味で読んでいただけたらと思います。
さて、第一回は「命の根源ー水」についてです。
新生児は、体重の80%が水分ですし、成人でも65~70%、高齢者でも60%弱とカラダの半分以上は水でできています。
水分が不足すると、脱水症状や熱中症になりますし、逆に過剰に摂取すると内臓に負担がかかり体がだるくなったり、むくみや消化不良を起こすこともあります。
では人間は毎日どれくらいの水を摂取すればよいのでしょうか?
毎日尿や便で約1ℓ、皮膚や呼気から約1ℓ排出されますから、私たちが生きていくのに必要な最低限の水分量は約2ℓということになります。
一日2リットルを目安に
もちろん必要な水分摂取量は年齢、体調、気温、飲食物、唾液の量、汗をかきやすいかどうかなどによって個人差は出てきますから、一概に約2リットルと決めつけることはできません。
でも一応は、一日2リットルを目安に考えてください。
現代は地球の温暖化、エアコンの普及、食生活の変化によって「からだ自体が乾ききっている」ので、昔よりもますます水分補給が重要になってくるでしょう。
ですから、私たちは本当に意識して水を摂取しなければなりません。
また、年齢とともに血管や血液の状態も変わってきます。
特に夜中寝ているときは、水分補給ができませんので、血液がドロドロになってきます。
そうすると血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞が睡眠時や午前中にかけて起こりやすくなります。
寝るときは枕元にペットボトルを置いて、もし夜中に目が覚めたら、一口でもいいので水を飲むようにしましょう。
私自身も夜中トイレに行ったついでに水を一口飲みますし、朝起きたらまずコップ1杯の水(からだが冷えない水温)を飲むことを習慣にしています。
先程、一日に必要な水摂取量は約2リットルと書きましたが、これは個人差もありますし、毎日欠かさず水を2ℓ飲むということはなかなか大変で現実的ではありません。
確かに純水を飲むのが一番良いのですが、水分はご飯、野菜、果物、おみそ汁などからも摂れます。
ただし、ここで気をつけていただきたいのは、利尿作用のある飲み物、たとえばカフェインを多く含む緑茶、コーヒー、アルコール飲料などの飲みすぎです。特にビールは、飲んだ量以上に尿として水分が排出される場合もあります。
(緑茶やコーヒー、ビールを飲んではいけないのではなく、飲みすぎないようにということです)
理想は純水1.5リットルその他で0.5リットル
理想を言えば、純水を1.5リットル、その他の飲食物で0.5リットルということになりますが、一番大事なのは、量よりもむしろ「喉が乾いた」「口が乾く」という状態をなるべく作らないことです。
唾液がもともと多いか少ないかで感じ方も変わると思いますが、この「口が乾く」という時点でからだ全体の水分がかなり不足している状態になっています。
また、便秘がちの人も水分不足の場合がほとんどです。
次にどんな水を飲んだらいいかということですが、私が子供の頃は水道水を直接飲んだり、井戸水も使ったりしていました。
でも、時代とともに、水源や水道管の汚染、老朽化などにより、今の水道水には殺菌上の理由で、塩素が家庭の水道水に残留していることが義務づけられていますから、人体にとっても好ましいとは言えません。
水道水を沸騰させることでも、ある程度の効果があるかもしれませんが、それでも一抹の不安が残ります。
水は確かにミネラルウォーターなどを飲むのがいいでしょうが、浄水器を通した水であれば問題はないでしょう。でも浄水器のフィルターは定期的に交換してください。
「どうしても水は飲みにくい」という方はカフェインが入っていない麦茶はいかがでしょうか?(当院の待合室にも置いてあります)
水の大切さは重々ご承知でしょうが、ご自身のからだの健康に結びつけて再考していただければ幸いです。
有賀歯科医院 ニュースレター No.14
過ごしやすい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。
今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
前回のニュースレターはこちらです⇒ニュースレター№13
「口内炎」について
ニュースレターNo13に引き続き、「口内炎」についてお伝えします。
「口内炎」と呼ばれる炎症症状には、「アフタ性口内炎」「カンジダ・ヘルペス感染症」の他にも全身疾患の症状が現れるものや、かみ傷、前がん病変なども含まれます。
全身症状がお口に出る場合
まれにこんな病気が原因で口内炎ができることがあります。
唾液の分泌が減って口腔内の粘膜が乾いてしまうシェーグレン症候群は、本来は体外から侵入してきた異物を攻撃して体を守る役割を持つ免疫が、間違って唾液を分泌する唾液腺や涙腺を攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつです。
シェーグレン症候群はドライマウスの原因の1つとしてあげられますが、お口の粘膜や舌などが乾燥することにより赤くなってヒリヒリと痛むこともあります。
その他、貧血や鉄分・ビタミン欠乏が原因で口内炎が起こる場合もあります。
かみ傷から前がん病変まで
咬み合わせが安定しなかったり、歯の被せものが合わない、入れ歯が動く、歯が欠けて鋭くなったなどの原因でお口の粘膜にかみ傷、すり傷を作ってしまうことがあります。
舌の先や縁、頬の粘膜に繰り返し作ることが多く、そのたびにバイ菌に感染してアフタに似た痛みが出ます。
お口の粘膜は修復が早いので、数日安静にしていれば治ってきます。
しかし慢性的に傷を作っていると、がんができやすくなるなどのリスクが生じますので、必要な治療を受けて傷ができないようにしましょう。
喫煙者、特に喫煙歴の長いヘビースモーカーの患者さんによく見られるのが、ニコチン性口内炎です。
上あごの粘膜が硬く厚くなってしまいます。タバコの煙に含まれるニコチンなどの化学物質や、熱の刺激によるものと考えられています。
上あごの粘膜が厚くなってシワがより、唾液腺が腫れてポツポツと赤くなりますが、通常痛みはなく時々しみる程度です。タバコやパイプをくわえる側の上あごに症状が強くでます。
禁煙して数ヶ月で改善してきますが、すでにタバコの害が粘膜組織に重大な影響を与えていますので、その後も粘膜の変化に気をつけて、前がん病変ができていないかなど経過を見ていく必要があります。
将来、がん化する可能性があるのが前がん病変です。通常は痛みがなく、そのため放置しがちです。
少し盛り上がったり、しこりやただれがあり、一見アフタに似ていることもあります。
しかし2週間くらい様子を見ても治らなかったり、薬を塗っても良くならない場合には、組織検査をして判明することもあります。
正確な診断は組織検査をしないとできません。また治療の必要がなくても、必ず経過観察を受けることが大切です。
定期的なメインテナンスと粘膜チェックを受けましょう
お口の中は過酷な刺激にさらされている場所です。様々な原因でできた傷や水疱などの周りに感染が起きて赤く腫れ、もともとの姿が分からなくなってしまうことがしばしばあります。
お口の粘膜は消化管とつながっているため、胃や腸の病気の症状が現れることもあれば、からだの皮膚ともつながっていて、その影響も現れてくることがあります。
クローン病(腸の慢性疾患)や潰瘍性大腸炎では、消化管全体に炎症が起きるため、お口の中にも口内炎ができることがあります。
また、自己免疫疾患のうち皮膚や粘膜の成分を攻撃する抗体ができてしまう病気では、お口の中だけでなく全身の粘膜や皮膚に水泡ができて痛むものもあります。
全身疾患の症状がお口の粘膜には現れやすく、見分けがつきにくい口内炎ですが、何か変だなと思う時は念のため、私たちにご相談ください。
有賀歯科医院 ニュースレター №13
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
お口の中に白い小さなできものができたことはないでしょうか。食べる時に痛んで、何日かすると消えてしまうこのできものは、アフタ性口内炎といって、「口内炎」の中でも最も身近なものです。
いつの間にか消えてしまうので、「口内炎」というと「放っておけば治るから大丈夫」と思いがちです。ところが、口内炎の中には、いろいろな病変が含まれていて、放っておいてはいけない場合もあります。
今回は健康のバロメーターとも言える「口内炎」についてくわしくご紹介します。
口内炎とは
口内炎とは、粘膜にできた炎症症状の総称です。白いものができて痛む「アフタ」の他、カンジダ、ウィルス感染によってできる水疱、誤って噛んでできたキズの炎症、全身疾患の症状がお口のなかに出たもの、がんに変化する前の病変など数多くの粘膜のトラブルが含まれます。
ほとんどが、放っておいても大丈夫なものですが、長く放置しないように注意が必要な場合もあります。
代表的な口内炎
米粒程度の大きさの白い潰瘍で、その周りを縁取るように赤い炎症があるもの。一度にいくつもできたり、直径1センチを超えることもあります。痛みが強く食事がしづらいこともありますが、少しずつ痛みがやわらぎ、いつの間にか跡形もなく治っていきます。
アフタが繰り返しできる原因については、実はまだ明らかになっていません。
栄養バランスに気をつけ、疲れをためない生活をこころがけることが大切ですが、決め手になる予防法が確立していないため、対策としては炎症を抑え痛みをやわらげる対症療法あるいはレーザー治療になります。
気をつけていただきたいのは、ただのアフタだと思って放置しないことです。前がん病変や全身疾患の症状だったということもまれにあるので、アフタらしきものが2週間たっても治らない、症状がひどく、しかもしばしばできるという場合は歯科医院で診察を受けましょう。
口内炎ができる原因として、カビやウィルス、細菌による感染症があります。そのなかでも代表的なのが口腔カンジダ症やヘルペス性口内炎です。
カンジダ菌は真菌とよばれるカビの一種で、健康な人でも検出されるごく一般的な常在菌です。ヘルペスウィルスもごく一般的なウィルスで、口唇ヘルペスなどは多くの方が感染の経験を持っています。
健康な時には免疫によって症状がでないように抑えられていますが、加齢や病気、抗生物質の長期使用などによって免疫が低下すると、お口に症状が出てきます。
カンジダ症があると、お口の中がヒリヒリし、食べても味が分からないなど食欲がわかず、体力回復の妨げになってしまいます。
お口の中を洗い流したり、抗菌作用や免疫作用のある唾液の分泌が少ないと、カンジダ菌が繁殖しやすくなります。
特に入れ歯の方は舌の動きが少なくなり、唾液の分泌が減りがちです。
唾液腺マッサージをしたり、口腔保湿剤を使ったりして口腔環境を改善させていきましょう。
ヘルペスなどのウィルスの感染症では、お口の中に水疱ができ、それが破れてひどく痛んで食事もとれないほどつらくなってしまいます。
ウィルスによっては口唇ヘルペスにとどまらず、帯状疱疹など、からだの広範囲に水疱ができるものもあります。帯状疱疹の最初の症状として、歯痛から始まることがあります。
その他、ウィルス感染によるものとしてはヘルパンギーナ、手足口病などがあります。いずれも水疱ができて痛みますが、安静にしていると約1週間ほどで治ります。
カンジダやヘルペスを発症するのは、体力が落ちている証拠。
まずはしっかりと体力低下の原因をつきとめ、休息、栄養をしっかりととり、体力回復につとめましょう。
体調管理と口腔ケアで口内炎の予防を
体力維持とお口の清潔の維持は、アフタだけでなくカンジダなどの感染を防ぐためにも重要です。
ていねいに歯磨きをすること、定期的な歯のクリーリングを受けてしっかりとお口の清潔を保つことは大変重要です。
定期検診の際には、患者さんの粘膜のチェックもしています。「何か変かな?」という時は、念のため早めのチェックを受けることをおすすめします。
次回も口内炎についてお伝えします!
有賀歯科医院 ニュースレター №12
日ごとに寒さが加わる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
有賀歯科医院に来院されているみなさんに、ニュースレターを通じてより健康への関心が高まり、良い刺激となれば嬉しいかぎりです。今後も頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
熱心に歯のケアをしているのに、歯が欠ける、折れる、割れる、かぶせものが壊れるなどのトラブルが何度も起きてしまう方が増えています。
時間をかけてしっかりと治療を受け、定期的なメインテナンスを受けている方が多い有賀歯科医院の患者さんの中にも、そのようなお悩みを抱えている方は少なくありません。
今回のテーマはこのようなトラブルの原因の一つとして考えられる、歯ぎしり・くいしばり(ブラキシズム)です。
ブラキシズムとは
ブラキシズムとは、
・「歯ぎしり」(キリキリと音を立てるもの)
・「くいしばり、噛みしめ」 (音を立てずに強く歯を噛みしめること)
これらを合わせた過剰な力の総称です。
ブラキシズムによって耐久性を越えた過剰な力が習慣的に加わると、歯や骨を支えている組織、顎関節や筋肉に負担がかかってしまい、重大なトラブルが起きやすくなってしまいます。
起きている時に行う「噛みしめ」のくせを覚醒時ブラキシズム、睡眠中に無意識で行う歯ぎしりや噛みしめを睡眠時ブラキシズムと呼びます。
睡眠時ブラキシズムは力の制御が難しく、通常の噛む力(体重と同じくらい)よりさらに大きな力が加わります。強い方では70kgにもなると言われています。
さらに、音を立てない噛みしめの場合は、ご家族でさえも気付きにくいので注意が必要です。
ブラキシズムのチェック
□歯がすり減り光沢がある
奥歯のかみ合わせ面の溝や前歯の先が、すり減ってツヤツヤしていませんか?
強い力で繰り返し歯ぎしりすると、歯が摩耗してしまいます。外側の硬いエナメル質が摩耗して内側の軟らかい象牙質がむき出しになっていきます。
□歯が欠けやすい・折れやすい
歯ぎしりや噛みしめの強い力が繰り返しかかると、力の集中しやすい歯の根元のエナメル質がだんだんとはじけとんで(チップして)
くさび状に切り込むように失われてしまいます。
さらに進むと歯が折れる原因になります。
歯が折れてしまうと、抜歯せざるを得ないことがほとんどです。
□治療したあとの被せもの等が壊れやすい
被せものの耐久性を越える力が繰り返しかかると、壊れやすくなります。
セラミックのように耐久性が高い材質も、ブラキシズムのために欠けてしまうことがあります。
ブラキシズムによってかかる力は大変強く、インプラントですらまれに折れてしまうことがあるほどです。
□朝起きるとあごが疲れている
ブラキシズム中は、あごを動かす筋肉がギュッと収縮します。強い収縮が持続しておこるので、筋肉が疲れて違和感や痛みが出てしまいます。睡眠時ブラキシズムによる筋疲労の特徴は、朝起きたときに違和感や痛みが最も強く、時間がたつにつれて消えていく一過性であることです。
顎関節症の原因のひとつとしても考えられています。
□舌や頬に圧痕がある
舌の側面や頬(ほっぺた)の内側に、歯で押しつけた痕がある方は、睡眠時ブラキシズムや日中の噛みしめグセで筋肉が緊張して、歯で押しつけられていることを示しています。
あなたのお口の中には、こんな痕がありませんか?
□骨隆起がある
就寝中に歯ぎしりや噛みしめをしたり、日中に噛みしめるクセがあると、顎の骨が変形して盛り上がってくることがあります。
(骨隆起自体には問題はありません)
歯周病との関係
歯周病は、歯周病菌に感染することによる炎症で歯を支えている組織が破壊される病気です。
ブラキシズムは歯周病に感染していないお口にも歯周病と似た状態を作り出します。
過剰な力が加わり歯や歯の周囲の組織が持続的に圧迫されることによって、歯を支えている骨などがいたみ、溶けていくのです。
歯と歯の間の隙間が広がったり、噛み合わせが変わって噛みにくくなるといった問題が起きやすくなります。
さらに問題なのは歯周病に感染している方のブラキシズムの被害です。
感染+過剰な力という要因で症状が悪化しやすくなり、また歯周病の治療をして炎症がなくなっても、回復が遅くなったり再発しやすくなったりします。
ブラキシズムへの対策
ブラキシズムの原因はストレスであるとよく言われますが、くわしく調べると、ストレスが強い方の歯ぎしりが必ずしも強いとは言えず、相関関係は一部にしかあてはまらないと考えられています。
しかし睡眠時ブラキシズムの大半が浅いノンレム睡眠時(比較的深い眠りで、筋肉は動いているが脳は休んでいる状態)の時に集中して起こることは明らかになっています。
深い眠りの時に起こる睡眠時ブラキシズムはコントロールが難しく、それ自体を止める有効な方法はまだ見つかっていません。
睡眠の質を良くするための行動療法として、
・いびきを治す
・タバコをやめる
・寝酒・深酒をやめる
・なるべくストレスを減らす
これと同時にマウスピースを使用することで、強い力を歯列全体に分散させて負担を減らすことが有効とされています。
最も重要なことは患者さんがブラキシズムの症状に気付き、過剰な力がもたらす問題に目を向けていただくことです。睡眠時にブラシズムを行っていないかチェックし、気になるときはお気軽にご相談ください。
有賀歯科医院 ニュースレター №11
いよいよ夏本番の到来となりました
日ごとに暑さが増してきましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、有賀歯科医院に来院されているみなさんに少しでも健康に役立つ情報をお届けしようと始めたニュースレターですが、早くも第11号を発行することができました。
ニュースレターを通じて、より健康への関心が高まり、みなさんにとって良い刺激となれば嬉しいです。
今後もスタッフ一同頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
今回は当院で行われている器具の消毒・滅菌について、くわしくお話します。
また、感染予防対策についてもご紹介します。
当院は安心・安全で良質な医療を提供するために、万全の体制をとっております。
消毒と滅菌
器具からの感染を防止するために、歯科医療の現場では日常から器具の取扱いを適切に行っています。
診療で使用した器具は、洗浄・消毒・滅菌という行程を経て管理されています。 当院で実施している器具の取扱いの流れをご紹介します。
診療に使用する使い捨て製品
ことですが、グローブやエプロンなどは使い捨てです。コップは完全に滅菌したものを患者さんごとに新しく使用しています。
有賀歯科医院消毒・滅菌マニュアル
当院では消毒・滅菌マニュアルを作成し、スタッフ全員が確実に感染予防対策を行うことができるように毎日の朝礼、終礼、週一回のスタッフミーティングで安全管理のためにスタッフ研修を実施しています。
【写真:有賀歯科医院消毒・滅菌マニュアルより】
有賀歯科医院は、患者さんが安心して安全な医療を受けられる環境を整え、良質な医療を提供することを通じて、患者さんの健康、福祉に貢献することを目的としています。
当院で一人一人の患者さんに時間をかけて治療するメリットとして、治療の詳しい説明や精密治療、全身の健康を考慮した医療などが挙げられますが、このような徹底的な消毒・滅菌ができるという利点もあります。
一日に30人や40人もの患者さんを診療していたら、このような安全・確実な衛生管理はなかなかできません。ましてや免疫力が低下していたり、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱い患者さんにとっては尚更徹底的な感染予防が大切になってきます。
お口の中のバイ菌が、歯、歯ぐき、歯のまわりの骨の中の血管を通って肺、心臓、脳などの各臓器に行って、肺炎、心筋梗塞、脳梗塞などの重い病気に直結することもあるわけです。
完全滅菌した器具を使い、治療に関してはお口の中のバイ菌を減少させる―これは患者さんの健康を左右する、とても意義深い、重要なことなのです。
有賀歯科医院 ニュースレター №10
春を迎え、すっかり暖かくなりましたね。新緑も美しい季節となりましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
さて、有賀歯科医院に来院されているみなさんに少しでも健康に役立つ情報をお届けしようと始めたニュースレターですが、早くも第10号を発行することができました。
ニュースレターを通じて、より健康への関心が高まり、みなさんにとって良い刺激となれば嬉しいです。今後もスタッフ一同頑張って作っていきますので、是非楽しみにしていてください。
酸蝕歯って何?
私たちが日常的に食べ、飲んでいるものは、一昔前とはずいぶん変化しています。
自動販売機ではいつでも炭酸飲料が買え、おやつにはすっぱいグミや干し梅が大人気。食卓では、いまやレモンやポン酢、酢を使ったドレッシングが欠かせません。お酒は柑橘類を使ったカクテルが好まれ、さらには健康志向の高まりとともに黒酢や柑橘類を好む方も増えています。
その影響もあり、今 ”酸蝕歯” の予防が注目されています。
歯は酸に弱く、酸性度の強い(すっぱい)飲食物に長く触れるほど溶けてしまいます。
歯はカルシウムの一種でできていて、実は酸に触れると化学反応をおこして分解し溶けてしまいます。こうして病的に溶けてしまった歯を”酸蝕歯”と呼んでいます。
酸蝕歯になると、エナメル質が薄くなり、さらに溶けると象牙質がむき出しになります。歯がもろくなって欠けたり、歯がしみたり、ついには歯の内部にばい菌が入って神経に炎症が起きることもあります。
特に日常的に歯ぎしりや食いしばりがある方は、酸蝕症がより進行しやすいので適切な対策が必要です。
酸蝕歯の原因は生活習慣にある!
欧米では、かなり前から飲食による酸蝕歯の問題が広く認知されてきました。
というのも、欧米では朝食にオレンジジュースを飲み、サラダにドレッシング、グレープフルーツなどもよく食べます。
肉や魚にはレモンを添え、コーラやレモネードを受飲し、ワインやカクテルを飲むといった具合に、もともと酸性度の強い飲食物を日常的によく摂るからなのでしょう。一方、和食で酸性度の強い日常食といえば酢の物くらい。歯が強い酢に触れる機会は比較的少なかったのです。
しょうゆも味噌も酸性度は穏やか。そして、食後には1杯のお茶。こうした和食文化によって私たちの歯は守られてきましたが、欧米型の食生活が世代を超えて定着し、また、酸性度の強い炭酸飲料やスポーツドリンクなどの清涼飲料水がいつでも手に入るようになりました。
ペットボトルが普及してからは外出中も持ち歩きやすくなり、ちょこちょこ飲む方も多いのではないでしょうか?
それに加え、今や大人から子供まで酸っぱいものの魅力にとりつかれています。コンビニの入り口にはすっぱいお菓子がずらりと並び、食卓ではポン酢をかける機会が多く、お酒もチューハイが大人気です。酸性度の高い飲食物の消費にさらに拍車をかけているのが健康志向を背景とする習慣です。ビタミンC入りのドリンク剤や黒酢などです。これらの継続的な習慣こそ、酸蝕歯の最大のリスクとなっています。
食習慣の変化とともに、私たちの歯は”酸蝕歯”になりやすくなっています。いくら美味しく体に良くても、歯がぼろぼろになってしまっては、食べる楽しみも健康の喜びも十分に味わえません。
是非、生活習慣病としての”酸蝕歯”にも注意していきましょう!
酸蝕症を予防するにはどうしたらいいの?
美味しくて、健康にも美容にも欠かせないすっぱい飲食物。過剰な摂取は見直す必要がありますが、ちょっと工夫することで歯への影響を減らすことができます。
- すっぱいものを口にしたら、水やお茶を口に含むようにしましょう。
- ドリンク剤の代わりに、カプセル入りの黒酢やビタミンCを取り入れましょう。
- ストローを使って飲みましょう。酸が直接前歯に触れにくくなります。
- 酸蝕症の原因となるオレンジジュースや炭酸飲料、スポーツドリンクなどのちびちび飲みはやめましょう。豪快にぐっと飲み干すか、水やお茶を取り入れましょう。
- お酒はやわらかいおつまみと一緒に飲みましょう。噛むことで唾液がたっぷり出て、口の中が 中和しやすくなります。
- ブラッシングは優しく丁寧に行いましょう。酸蝕した歯を硬い歯ブラシでゴシゴシ磨くと、よけいに摩耗 してしまいます。
- 歯ぎしりや食いしばりのある方は、ナイトガード(マウスピース)を装着しましょう。
細菌の話2-お口の中の細菌はどこから来たのか?
私たちはお母さんのおなかの中(胎内)にいるときは、細菌にさらされていません(無菌状態)でした。ところが生まれた瞬間からすぐにいろんな細菌が口の中に住み着いてきます。
さらに歯が生えてくる頃からは、歯や歯の周囲にさまざまな種類の細菌が住み着きます。
その多くは、母親(保育者…場合によっては父親、祖父母)の口の中にいる細菌がうつることがわかってきました。
むし歯の代表的な病原菌であるミュータンス菌は、お母さんの口の中にたくさんいるほど子供にうつりやすくなります。
特に子供が1歳半から3歳の頃に母親(保育者)から感染することが明らかになっています。
例えば、赤ちゃんの食事でお箸やスプーンを共有したり、可愛さのあまり口付けしたりするなど、ごくありふれた日常のスキンシップの中で、唾液を介して感染する可能性があるのです。
母親(保育者)の口の中に多量のミュータンス菌がいて、さらに母親の砂糖摂取量が多ければ、子供のむし歯はさらに増えてしまうでしょう。
ですから、母親(保育者)のお口の中を清潔にして、正しい食生活を送ることによって、子供への感染率を下げることが可能なのです。
それでは歯周病の場合はどうでしょうか?
歯周病菌の親から子供への感染時期は、1歳から15歳と幅が広く、重度の歯周病は10歳頃にやはり大人から子供に感染します。
さらに歯周病菌は親子間のみならず、夫婦間での感染も認められることから、成人してからの感染もあるのです。
ご夫婦のどちらかが歯周病の場合は、ご夫婦そろって受診されたほうがいいかもしれませんね!
さらに年をとって元気がなくなると、待ってましたとばかり増えてくるのがカビの仲間であるカンジダ菌というものです。
口の中のカンジダ症は、やはり母親(保育者)からうつることが多いですが、外部からの感染もあります。カンジダ症になると、口内炎や口角炎ができやすくなります。
特に入れ歯を使っている患者さんは気をつけてください。
入れ歯にカンジダ菌が着くとヌルヌルします。
洗浄剤に入れるだけでは取れないため、入れ歯用のブラシも使ってきれいにしておきましょう!
【注】
この話を読んで、「自分がむし歯や歯周病なのは、親のせいだ!」とは決して思わないでください。あなたの親は、あなたの祖父母から菌がうつったのかもしれませんし、もっと前からそういう家系だったのかもしれません。
さらにはむし歯や歯周病の母子感染という話は、ごく最近になって言われてきたことで、誰もそんなことは知りませんでした。
一つだけ言えることは、あなたが子供のころ、親はあなたに大きな愛情を持って接していたということです。
有賀歯科医院 ニュースレター №9
朝晩寒い日が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
今年は昨年と比べてもインフルエンザが早い時期から流行しており今後もまだまだ注意が必要となりそうです。
TVなどで、R-1乳酸菌は免疫力をUPさせ、インフルエンザや風邪の予防に効果があると言われていますが、栄養、睡眠を十分にとり、その日の疲れを翌日に残さないよう体調管理をしていきましょう。
うがい、手洗い、マスクの予防も忘れずに行いましょう。
定期検診を受けましょう – 予防が一番大切です-
超高齢化社会となった今、歯科では「削る」「かぶせる」という治療よりも、歯を「守る」こと=予防が大事なカギとなっています。
虫歯や歯周病で歯の本数が減ると、食事や運動などの様々な生活習慣が変化し、糖尿病や認知症を招く恐れがあります。
また、これらの細菌が血液に乗って全身に広がるため、心疾患や脳血管疾患など全身に影響を与えることも次々と明らかになってきています。
よって、虫歯や歯周病を予防することは、健康寿命を延ばし、医療費を抑制することにつながっていくのです。
定期検診の受診率は日本人の場合、10%未満です。予防に力を入れているアメリカでは70%以上、スウェーデンでは80%以上の人がお口の中に何も問題がなくても歯科検診を受けているというデータもあります。
治療が終わったお口の中は、虫歯菌や歯周病菌が生息しにくい環境が整い、細菌の数もコントロールされています。
しかし、この良好な状態を維持することは、容易なことではありません。ブラッシングを一生懸命行っていても、苦手なところや磨きにくいところは誰にでもありますし、毎日完全に汚れを落とすことはとても難しいことです。
ですから、お口に中を100%きれいな状態にしても、3ヵ月程すると細菌の数は元の状態に戻ってしまうと言われています。当院でも3ヵ月おきに定期検診にいらっしゃる患者さんが多いのは、そういう理由があるからです。
お口の健康を保ち続けるためには、定期的な歯科検診での早期発見と、併せて行うクリーニングで細菌の数を減らし、お口の中に細菌が定着しにくい環境を作ることが大切です。
是非、継続したお口の管理で自分の健康を維持していきましょう。
定期検診を3か月毎に受けている人受けていない人を比較したグラフです。定期的に検診を受けていると、お口の中は清潔に保たれ、良い状態を維持しやすくなります。
細菌の話①-細菌ってどんなもの?
今回から何回かにわたって、細菌についてお話をしていきます。
あなたは「細菌」というと、どんなことを思い浮かべますか?
むし歯菌、歯周病菌、結核菌、大腸菌など身体に悪さをする菌が多いのであまり良いイメージはお持ちではないかもしれませんね。でも、ビフィズス菌などの乳酸菌は悪い細菌を排除してくれる、私たちの強い味方です。
細菌の直径は0.001mm単位の小さいものです。(肉眼で見える大きさの限界は0.2mm)こんなに小さいものですから、細菌を見るために、集落(コロニー)を作らせる方法が行われます。
つまり、栄養源となる物資を溶かして、寒天で固めたもの(寒天培地)に細菌の試料を塗抹して細菌を増やしてコロニーを形成させる方法です。当院でも根の治療をした患者さんはご覧になったことがあるかと思います。
そもそも30億年前にはすでに細菌が誕生していました。
そしてさまざまな環境に順応しながら、多種多様な細菌の仲間が増えていったのです。約300年前にオランダのレーベンフックという人が、自分で作った顕微鏡で歯に付着している細菌を観察したところ、細長い細菌がつえ(杖)のように見えたところから、ギリシア語の杖という意味で細菌のことをバクテリアと呼ぶようになりました。
細菌の直径は0.001mm単位の小さいものです。(肉眼で見える大きさの限界は0.2mm)こんなに小さいものですから、細菌を見るために、集落(コロニー)を作らせる方法が行われます。
つまり、栄養源となる物資を溶かして、寒天で固めたもの(寒天培地)に細菌の試料を塗抹して細菌を増やしてコロニーを形成させる方法です。当院でも根の治療をした患者さんはご覧になったことがあるかと思います。
一方、ウイルスは細菌よりもさらに小さく、電子顕微鏡を使わないと観察することができません。細菌の10分の1から100分の1の大きさです。こんな小さいものなので、よけいに私たちの身体に侵入しやすく、だからマスクや手洗い、うがいが必要になってくるのですね。
さて、私たちの健康を脅かす細菌は病原性細菌といわれるものです。それらの細菌は私たちの身体の中にひっそりと住み着いているもの(常在菌)もあれば、外から侵入してくるものもあります。
病原性の弱い細菌でも、私たちの抵抗力が下がるのを待っていて、仲間を増やして命を狙ってくるものさえいるのです。
悪い細菌は白血球に食べられて殺されないために、きょう膜という鎧(よろい)をまとっており、その上に毒素などの武器を持って私たちに襲いかかってくるのです。
だからこの細菌を退治するために、私たちは歯を磨いたり、クリーニングをしたり、入れ歯を洗浄する必要があるのです。
有賀歯科医院 ニュースレター №8
日を追うごとに寒くなってきますが、いかがお過ごしでしょうか?
ところで、あなたはどのような食べ物がお好きですか?
美味なものを左右の歯でよく噛みしめ、舌で味わう。こうして自分の口で食べるということは、だれにとっても生きる楽しみの1つです。
いつまでも楽しく食事ができるよう、お口の中を清潔に、そして健康に保ちましょう。
さて、今回は少し歯のことから離れ、骨粗鬆症についてお話したいと思います。骨粗鬆症は女性に多い病気ですが、男性だから心配ないというわけではありません。ぜひ適切な生活習慣を心掛け、病気にならない体づくりをしておきましょう。
骨粗鬆症とは
骨はカルシウムやリン、タンパク質からできていますが、この中で骨を硬くする成分がカルシウムです。
体の中にあるカルシウムは99%が骨や歯に含まれていますが、心臓を動かしたり、骨格を動かすためにもカルシウムは使われます。
血液の中にもカルシウムが存在し、食物などからカルシウムを摂取することで血液中のカルシウム量を一定に保っています。しかし、血液中のカルシウムが不足すると、その分だけ骨から取り出して使ってしまうのです。
こうして骨量が減少し、骨にスが入ったスカスカでもろい骨になってしまいます。
これが骨粗鬆症です。
骨粗鬆症になると、骨が体を支える本来の強さを保てず、ちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。高齢者では骨折が原因でそのまま寝たきりになるケースが少なくありません。
骨粗鬆症にならないために
骨粗鬆症にならないために一番大切なことは、カルシウムを十分にとることです。
日本人成人の1日に必要なカルシウムの量は600mgです。
カルシウムのとり方については後述しますが、カルシウムを骨に蓄えるためには運動も必要です。適度な運動は骨の新陳代謝を活発にし、カルシウムが骨に定着するのを助けます。毎日10~20分でもいいので、お散歩でもしてみたらいかがでしょうか。
また、吸収されたカルシウムが効果を発揮するためには活性ビタミンDが必要となります。これは食品からとるビタミンDと、皮膚が紫外線を受けてできる活性型ビタミンDをもとにしています。
女性ホルモンはカルシウムの吸収を助ける働きをしてくれる大切なホルモンなのですが、閉経すると女性ホルモンの分泌が低下するため、女性は骨粗鬆症になりやすくなります。できるだけ早いうちから骨量を蓄えるために、十分なカルシウムをとるように心がけましょう。
カルシウムの多い食品とその摂り方
カルシウムは牛乳やヨーグルトなどの乳類、煮干しやいわしなどの魚介類のほか、豆類や、海草類にも含まれています。
下の表にはカルシウムを多く含む食品が挙げられています。
表に100g当たりのカルシウム含有量が記載されていますが、ここで注意することは、すべてが体内に吸収されるわけではないということです。乳製品の吸収率は40%程、魚介類は30%程、ほうれん草や小松菜は20%くらいです。
カルシウムの摂りやすい食品は「牛乳」と「乳製品」が第一に挙げられます。「乳製品」ではチーズやバター、ヨーグルト、スキムミルクなどもほぼ牛乳と同様にカルシウムが摂れます。
注意! カルシウムを奪う飲食品
◎コーラ
コーラの中に含まれる高リン酸が腸管におけるカルシウムの吸収を減らし、骨からカルシウムを吸収させ、全身の骨が溶けていきます。リン酸はカルシウムの吸収を阻害する作用があります。
◎砂糖のはいった飲食物
砂糖を分解する際にビタミンBや、体内に蓄えられたカルシウムが奪われます。
◎その他
清涼飲料水、スナック菓子、ハンバーガー、食塩、アルコール、カフェイン飲料の摂り過ぎにも注意が必要です。
飲食品以外にも、タバコ、運動不足、日光不足、ダイエットのし過ぎ、過剰なストレスも体からカルシウムを奪います。
今回骨粗鬆症についてお話してきましたが、重要なことはまず、 これ以上あなたの体の中のカルシウムを減らさないことです。
つまり、リン酸や砂糖を含む食べ物はなるべく避け、その上でカルシウム食品を摂り、ビタミンD、適度な運動なども考慮していくということです。
これは骨粗鬆症に限らず、歯周病(歯の周囲の歯槽骨が溶ける)の予防にも言えることなので、あなたも十分に気をつけて、これからもずっと健康的な生活を送っていってくださいね!
有賀歯科医院 ニュースレター №7
いよいよ夏も目前です!みなさんはいかがお過ごしでしょうか?今年は梅雨が長引くようで、雨の日も多いようですが、その分じめじめ蒸し暑い日が増えるかもしれません。
よく水分を摂り、通気性の良い服を着て、日陰に入るなど熱中症には十分に気を付け、今年の夏も元気に乗り越えましょう!
歯を守る歯磨きと全身の健康につながるお口磨き―その3
前回は歯磨きのポイントとブラシの選び方についてお話ししました。今回はより細かい部分を磨く、仕上げ磨きのための補助用具についてお話します。
「歯磨きに時間をかけているのに虫歯になってしまう」とか「いつも頑張って磨いているのに、なかなか上手に磨けないな」などという経験はありますか?
前回の歯磨きのポイントでお伝えしたように、歯と歯の間(歯間部)、歯と歯茎の境目(歯頚部)、かみ合わせの部分(咬合面)はもともとブラシが当たりにくいだけでなく、みんなそれぞれ磨き方に自己流の癖があるため、磨き残してしまう可能性が高い場所です。
そこでお勧めしたいのがブラッシングの補助用具です。
いろいろなタイプなものがありますが、これらを上手く活用することによって、ブラッシングの時間を短縮できたり、今まで磨き残してしまった部分を楽にお掃除できたりします。
一見面倒に思えるのですが、確実な歯磨きを目指すのであれば、これが一番の近道です。
入れ歯の大事なお話
みなさんは虫歯や歯周病などで歯がなくなってしまった部分の治療は済んでいますか?
歯を失って、そこに空間ができていても、噛むことに不自由していない場合、そのまま放置してしまう人もいるかと思います。歯を失ったときの治療法としては、両隣の歯を土台としたブリッジや、骨の中に人工歯根を埋め込むインプラント、取り外し可能な入れ歯(義歯)があります。今回は少し入れ歯に関するお話をしていこうと思います。
人の歯は、全て揃っている場合28本あります。(親知らずがあれば32本)前歯、奥歯、それぞれの歯が大事な役割を担い、バランスよく力を負担してくれるようにできています。
歯を失うと、残った歯にかかる力の負担が増えたり、噛み合わせが変わってきたり、汚れが残りやすくなったりしてきます。歯の本数が少なくなるにつれ、噛みにくくもなりますし、ぐっと噛み合わせたときに力が入らないので、転倒しやすくもなります。
また栄養面では、野菜や果物などの摂取不足になりやすく、食物繊維やβカロテン、ビタミンCなどの栄養素が不足がちになります。
すると、心疾患や脳血管疾患になりやすく、肥満やガンのリスクも高まります。
ですから、歯を失ってしまったら、きちんと補ってあげる必要があるのです。
その治療の1つが入れ歯を入れることなのですが、入れ歯を入れたらもう安心というわけではありません。入れ歯は毎日つけたり外したりするものなので、知らないうちにバネがはずれてしまう可能性もありますし、歯茎がやせて隙間ができ、がたついて歯茎に傷ができることもあります。
時々、定期検診で入れ歯のチェックをしてもらうことで、入れ歯に問題がないか確認でき、よりピッタリした使いやすい入れ歯となります。
また、入れ歯は正しくお手入れしてあげないとカンジダ菌(カビの一種)が繁殖し、口内炎ができやすくなったり、誤嚥性肺炎の原因にもなるので、検診の際に入れ歯のお手入れ方法を確認してもらったり、超音波洗浄で目に見えない細菌を除去してもらうと良いでしょう。
2014年6月、名古屋において第32回日本臨床歯周病学会が開かれ、有賀歯科医院の歯科医師 有賀重則と名古屋大学 循環器内科の柴田玲先生が、歯科と医科の立場から市民フォーラムで講演されました。
有賀歯科医院に来院してくださっている皆様にもぜひお伝えしたい内容なので、今回から何回かに分けて連載していきます。
平均寿命と健康寿命
皆さんは「平均寿命」と「健康寿命」の違いをご存知ですか?
「平均寿命」とは、生まれたばかりの子どもが生きられる年数の期待値です。一方「健康寿命」とは、健康で介護なしで自立した生活ができる生存期間です。
超高年齢化社会において、単純な寿命の長さだけでなく、健康で自立した生活を送れる期間に注目した考え方が「健康寿命」なのです。
女性と男性の平均寿命を比べてみると、女性の平均寿命は86.3才、健康寿命は73.62才、男性の平均寿命は79.55才、健康寿命は70.42才と、どちらも10年前後の不健康な期間があることがわかります。長寿国である日本ですが、せっかく長生きをしても寝たきりの状態になってしまっては生活の質も低下し、本人も周りの家族も辛いですよね。
もう一つ興味深いデータをみてみましょう。
都道府県平均寿命ランキングというものが厚生労働省から発表されているのですが、そのデータによると47都道府県の中で平均寿命が最も長いのが長野県、最も短いのが青森県となっています。その差は男性で3.60年、女性で1.84年です。
この二つの県の違いをみていくと、47都道府県中、肥満者の割合が長野県40位、青森県19位、1日の歩数量は長野県19位、青森県46位です。
喫煙率は長野県44位、青森県1位、飲酒習慣者の割合は、長野県19位、青森県1位です。
さらに、野菜摂取量は長野県1位、青森県31位、食塩摂取量は長野県6位、青森県2位。一回の食事にかける時間は長野3位、青森32位でした。
また、2011年都道府県別がんによる75才未満年齢調整死亡率も青森県がワースト1位でした。このことから、平均寿命を延ばすためには日頃から太らないように運動を心がけ、喫煙や過度な飲酒を控えること、そして野菜をよく食べ、よく噛むことが大切だと考えられます。
また、健康寿命を短くする三つの要因がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)、認知症であることから、先程の生活習慣の他に、認知症の予防となる習慣を身につけると良いでしょう。
認知症の予防には脳を活性化することが大事になります。
手、足をよく使うこと、そして何より顎をよく使いよく噛む、よく話す、よく笑うことで脳に血流が勢いよく流れこみ、認知症の予防になります。
どれも誰にでもできることです。少し生活習慣を見直し、毎日良い習慣を心掛けるだけで、健康で自立した生活が送れる可能性が高まります。ぜひ実践してみてください!!
【長野県と青森県の徹底比較】
(総務省のデータを元に編集されたものを抜粋)
有賀歯科医院からのニュース
2014年6月21日、22日に名古屋国際会議場において第32回日本臨床歯周病学会が開かれました。大きなスクリーンを用い講演をする有賀重則今回は歯科医師の代表として、有賀重則が約250名の市民、歯科医師、歯科衛生士に向けて講演をしました。
テーマは「口は健康長寿の要~口腔の健康と全身の健康~」です。
有賀歯科医院 ニュースレター №6
今年の冬は記録的な大雪が降ったりと寒い日が多かったですがいよいよ春到来ですね!
まだ寒い日もあるので健康に気をつけながら、少しずつウォーキングや体操などをして体を動かしてみるといいかもしれませんね。
歯を守る歯磨きと全身の健康につながるお口磨き-その2-
前回は歯を磨く大切なタイミングと舌の磨き方をお話ししました。
今回は歯磨きのポイントとブラシの選び方についてお話します。
みなさんは歯を磨くとき、どういう所に気をつけて磨きますか?
歯と歯の間や歯と歯茎の境目、噛み合わせは特に磨き残しやすく、虫歯や歯周病になりやすいところです。
このような場所を上手に磨くためには、ちょっとした工夫と意識が必要となります。
歯と歯の間は、くぼんでいるため、ブラシを大きく動かしては毛が当たりません。小刻みに動かしたり、ブラシの先端を歯の間につっこむようにして磨きましょう。歯と歯茎の境目にきちんとブラシを当てるためには、歯茎を磨くくらいのつもりで磨くと良いでしょう。
力を入れすぎると歯茎を傷つけたり歯茎が減ってしまうので、軽い力で磨きましょう。噛みあわせにある溝は目に見えるよりも深いので、ブラシの毛先でしっかりと汚れをかき出します。
この部分は多少力が入っても削れることはないのでよく磨いてください。このように細かい部分は、自分で意識しないとなかなか毛が当たらず、汚れは落ちません。ましてやヘッドの大きな歯ブラシだと細かい動きが難しくなります。
ブラシの選び方は各々の口の大きさや歯並び、歯茎の状態などにより判断しますが、一般的には”ふつう”のかたさのヘッドが1~2cm程度のものを用いることが多いと思います。
口が小さい方は奥歯まで十分に届くような”コンパクト”サイズのブラシを用いる、歯茎が薄い、力が強い方は歯茎に傷をつけないような”やわらかめ”のブラシを用いる等、自分に適したブラシを選択しましょう。
自分ではよくわからないという場合はぜひご相談ください。一緒にあなたにぴったりの歯ブラシを選びましょう!次回はより細かい部分まで磨くための補助器具についてです。
☆有賀歯科医院でお薦めしている歯ブラシ☆
有賀歯科医院で受けられるクリーニング
毎日欠かさず歯磨きを行っているのに、”なんだか歯の表面がざらついてきたな”とか”
歯が茶色っぽくなってしまって頑張って磨いても落ちない”とか”口臭が気になるようになってきたな”なんて経験はありませんか?
一生懸命磨いているつもりでも、長年しみついたクセや磨きにくい場所などブラシが当たっていないところにはどうしても時間とともに汚れやバイキンがたまってきてしまいます。この、自分で落とせなくなった汚れやバイキンを落とすことができるのがクリーニングです。
歯の表面についたネバネバなバイオフィルムや硬い歯石、頑固な着色を除去させるとともに、悪いバイキンを限りなく減少させます。すると、虫歯や歯周病だけでなく、口臭や風邪、肺炎などの予防にもなります。
見た目も白くきれいになり、舌ざわりもつるつるすべすべで、とてもスッキリしますよ!クリーニングをした後は”食事をするのがもったいない!”なんて方もいらっしゃいます。
有賀歯科医院では60分~90分の十分な時間をお取りして、丁寧かつ痛みの少ない方法を用いてクリーニングします。他院では15分~30分程度の簡単なクリーニングが一般的なようですが、お口の中を隅々まできれいにするにはどうしても60分~90分の時間が必要です。ゆったりとした時間の中でクリーニングを受けられ、終わったあとはさっぱりして気分爽快です!!
ぜひ定期的にお口の中のクリーニングをしましょう。
クリーニングに関してもっと知りたいこと、わからないことなどがあればスタッフにおたずねくださいね!
歯周病にかかりやすい人、歯周病が進行しやすい人とは?
歯周病にかかりやすい人は、お口の中のバイ菌を調べると、歯周病菌が普通の人よりもかなり多く存在しています。
歯周病菌は歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)の中にどんどん入り込んでいき、歯を支えている周りの骨も溶かし、歯がぐらついてきます。
また歯の周りの歯ぐきも炎症を起こし、歯ぐきから出血したり、歯ぐきが赤く腫れたりします。
もっとひどくなると、歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)から膿も出てきますから、口臭も強くなって、自分が気がつかなくても周囲の人を不快な気分にします。
歯周病の主な原因はこの歯周病菌ですが、他にも下記のようなことがある人は、特に注意が必要です。
1.歯ぎしりや食いしばりがある
歯を支えている骨に力が伝わって骨が溶けやすくなる。
2.噛み合わせが悪い
一部の歯に不自然な力が加わり、歯ぎしりと同様歯周病の症状を悪化させる。
3.喫煙
ニコチンの作用によって、歯ぐきや歯の周りの骨の中に存在する毛細血管が収縮してしまい、栄養が歯ぐきや骨に行かなくなってしまう。
喫煙すると、歯肉の色が悪くなったり、歯肉が病的に硬くなってしまい、初期の歯周病の徴候である出血が見られないため、歯周病の発見が遅れてしまう。
4.ストレス
体の抵抗力や免疫機能が低下して、歯周病菌の攻撃に負けてしまう。
5.糖尿病
糖尿病の人は免疫力の低下によって、歯周病菌に感染しやすくなり、また歯周病菌も増加しやすくなるので進行しやすい。
また逆に歯周病になると、糖尿病も悪化しやすくなる。
6.口呼吸
口の中が乾燥してしまい、歯周病菌が歯の周りに停滞しやすくなる。
7.肥満
肥満は脂肪の塊です。脂肪細胞が炎症性の物質を出し、それが血液を介して、歯ぐきや歯の周りの骨に回ってくるので、歯周病の炎症をさらに悪化させてしまいます。
8.食事
軟らかい食べ物ばかり食べていると、歯の周囲に歯垢(プラーク)がつきやすくなり、バイ菌も付着しやすい。
噛みごたえのある食べ物を食べないと、歯肉や顎の骨が鍛えられない。
(ただし進行した歯周病の場合は、あまり固い食べ物を食べると歯がよけいにぐらついてしまうので十分注意が必要です。)
他にも歯周病を進行しやすくする因子はたくさんありますが、 まずは、あなたの口の中に今どのくらい歯周病菌がいるのかが問題です。
当院では、痛みもなく簡単に30分くらいで、その日のうちに歯周病菌の状態を調べることができますので、 あなたも一度調べてみてはいかがですか?
有賀歯科医院 ニュースレター №5
また寒い季節がやってきましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?夏の暑さから一転、あっという間に冬の寒さとなり、体が温度変化や天候に適応できず、体調を崩す方も少なくないようです。
十分な睡眠と栄養をとるよう心掛け、風邪やインフルエンザ等の予防をしましょう!
歯を守る歯磨きと全身の健康につながるお口磨き-その1-
私達は毎日歯を磨きます。何故でしょうか?虫歯や歯周病を予防するため、お口の中がさっぱりせず気持ち悪いため、口臭が気になるため、などなど色々な思いがあると思います。けれども、やはり一番の目的は生涯美味しく食事をし、楽しく会話をし、健康でいること。そのためには歯を守らないといけないのです。
現在では歯磨きが進化してきて、「お口磨き」という言葉を耳にするようになりました。歯をキレイにするだけでなく、お口全体をキレイにしましょうということです。お口の健康が全身の健康につながることが理解されてきたからでしょう。
有賀歯科医院では歯はもちろん、全身の健康を守るために待合室に新聞記事を置いたり、定期健診の際に少しずつお話をさせていただいたりしていますが、それでも伝えきれないことはあります。今回からニュースレターを通してお口磨きの方法を色々とお伝えしていこうと思います。すでに知っている方も、そうでない方も、是非お読みいただき、参考にしてもらえると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
☆歯を磨く大切なタイミング
みなさんはいつ歯を磨きますか?朝起きてすぐ磨く方もいれば、食後に磨く方、夜寝る前に磨く方もいます。また、1日に3回磨く方もいれば、1回の方もいます。
私達はお口の中の環境も生活習慣もそれぞれみんな違っていますので、みんなが同じように歯を磨くことは簡単なことではありません。
ですから、1日3回食後に磨くことが理想であっても、必ずそうしてくださいとは伝えていません。
しかし、絶対に外せないポイントがあります。それは、夜寝る前(夕食後がベスト)には必ず丁寧にすみずみまで歯を磨くということです。
寝ている間は唾液が出ないので、バイキンがお口の中で増殖してしまいます。朝起きたときにロの中がネバネバしていたり、口臭がするのはそのためです。ですから、寝る前にできるだけお口の中のバイキンの数を減らす必要があるのです。
さらに、舌の上もお掃除することで、寝ている間の誤瞭(ごえん)による肺炎の予防にもなります。舌の磨き方は簡単!通常お使いの歯ブラシ(ふつう~やわらかめ)や専用の舌ブラシで、奥の方から一方通行で数回舌の上をやさしくなでるように動かすだけです。やりすぎたり、力が強いと傷ができ逆効果ですので注意しましょう。
次回は歯磨きのポイントと歯ブラシの選び方です。
ノンシュガーは虫歯にならないの?
虫歯予防や低カロリーをうたう食品として「ノンシュガー食品」が市場に出回っています。「シュガーレス」「糖質ゼロ」や「微糖」「低糖」など様々な表現を見かけますが、これらは「強調表示」と呼ばれ、いずれも食品表示基準でその使用基準が定められています。
食品100g(飲料100ml)当たりに含まれる糖類の量が0.5g未満であれば、「ノンシュガー」「シュガーゼロ「無糖」などの表現ができます。また、食品100g当たり5g未満(飲料100ml当たり2.5g未満)であれば、「低糖」「糖類ひかえめ」「糖類オフ」などと表現できます。
よって、一見砂糖が使われていないと思われる食品でも、100%安心というわけではありません。では、安心な食品はどうやって見つけるのでしょうか?
国際トゥースフレンドリー協会(TI)は、虫歯になりにくい食品として認定したものには「歯に信頼マーク」を付けています。
また、特定保健用食品(健康増進に役立つ食品)と認定したものには「トクホマーク」を付けており、この中で『虫歯になりにくい』ということが同時にパッケージのどこかに表示されていれば、こちらも虫歯になりにくい食品として安心して食べられます。
これらの表示がされている食品はまだまだ数が少ないのが現状でぜひみなさん探してみてください。
歯周病の治療はどのようにするのですか?
前回は、中程度の歯周病を治すために、ルート・プレーニングのお話をしました。今回は重度の歯周病治療について説明します。
まず、重度の歯周病になると、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間にできるすき間)が7mm以上とかなり深くなり、歯を支えている骨も著しく溶けていきます。そのため、歯を岐み合わせるだけでぐらついたり、歯の周囲を指で押すと黄白色の膿がにじみ出て、歯磨きの際毎回のように出血するようになります。こうなってくると、歯周病の治療もかなり困難になります。歯ぐきを開けて、奥深くについた歯石や感染物質を徹底的に除去し、きれいにした後、歯ぐきを元通りに戻します(外科治療)。
当院では、骨が溶けた所にリン酸カルシウムという材料を入れますので、骨が徐々にできてきます。いわゆる歯周組織の再生療法です。
完全に骨を元の状態に戻すことはできませんが、それでもある程度骨が再生しますので、歯のぐらつきも少なくなり、歯肉もしっかりしてきます。でも、あまりにも重度の歯周病には、この再生療法もできませんので抜歯せざるをえない状況も出てきます。そうなる前に、なるべく早く歯周病の治療をした方が歯も長持ちします。
歯周病はよっぽど進行しないと自覚症状(歯の動揺、排膿など)が現れません。
そうなる前に毎回の定期検診で歯周病チェックとクリーニング!
あなたの大切な歯を一緒に力を合わせて守っていきましょう!
有賀歯科医院 ニュースレター №4
2013.7.16発行
相変わらず暑い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
この時期は慣れない暑さで眠れなかったり、体が疲れやすくなります。適切な暑さ対策と十分な栄養・睡眠で本格的な夏を乗り切る準備をしましょう。
今年も注意!熱中症~7月は熱中症予防強化週間
■熱中症とはどんなもの?
私たちは暑いときや運動したときには、体温が上がります。
その際に、体温を調整する反応として、血管を広げ皮膚に血液を集めたり、汗をかくことで熱を外に放出しています。この機能がうまく働かないと熱の産生と放出のバランスが崩れ、熱が体内にこもってしまいます。
このような状態が熱中症です。
熱中症は小さな子供や高齢者、有病者が特になりやすく、重症になると死に至る恐れもあります。
■熱中症予防にできることは?
熱中症は予防法を知っていれば防ぐことができます。 熱中症を防ぐためには、日常生活の中で以下のことに気をつけましょう。
1.暑さを避ける
日陰を選んで歩いたり、日傘や帽子をかぶるようにしましょう。
屋内では扇風機やエアコンを使ったり(設定温度28℃以下、湿度60%以下)、すだれやカーテンで直射日光を防ぎましょう。
2.服装を工夫する
えり元はなるべく緩め、熱気や汗が出ていきやすいようにしましょう。汗を吸収する素材の服を選び、黒系の衣類は熱を吸収し暑くなるので、なるべく避けましょう。
3.こまめに水分補給する
水や麦茶がおすすめです。スポーツドリンクは飲みすぎると体によくないので、注意しましょう。
4.急に暑くなる日に注意する
体が暑さに慣れていないときは、暑い日に熱中症が起こりやすくなります。
5.暑さに備えた体づくりをする
日頃からウォーキングなどで汗をかく習慣を身につけておくと、夏の暑さに対応しやすくなります。
6.体調を考慮する
熱中症の発生には、その日の体調が影響します。前の晩に深酒をしたり、朝食を抜いた状態で暑い環境に行くのはやめましょう。風邪をひいている人やひどい下痢をしている人、肥満の人や心肺機能が低下している人などは注意が必要です。
■熱中症の人を見かけたら?
- すぐに日陰やクーラーのきいた涼しい場所に移しましょう。
- 衣服をゆるめたり、体に水をかけたり、ぬれタオルをあてて扇いだりして、体から熱を放出させましょう。
- 冷たい水を与え、沢山汗をかいた場合にはスポーツドリンクや塩あめなどで塩分を補給しましょう。
- 自分の力で水分摂取ができない、意識障害のある場合には すぐに病院へ搬送しましょう。
よく噛むことは「脳」にいい刺激!!
食べることは生きることです。
私たちが生きるためにはエネルギーが必要です。
そして、植物のように光合成ができない私たちは、「噛んで食べる」ことでしかエネルギーを得ることができません。
その噛んで得たエネルギーのうち、20%は脳で消費されています。人の脳の重さは1.2kgほどですが、エネルギー消費量はとても多いのです。しかも、脳がエネルギーとして使えるのは、ほぼブドウ糖だけですが、脳はブドウ糖を蓄えておくことができないので、常に補給する必要があります。
脳を働かせるためには、噛んで食べることが ≪絶対に≫ 必要です。
そして、噛むことが認知症予防につながることもわかっています。
もちろん、噛むことは脳にいいだけではありません。噛むことによって、満腹中枢が刺激されると食べすぎを防ぎ、脂肪も燃焼されやすくなるので、メタボリックシンドローム、つまり肥満の予防にもなります。
よく噛むことで唾液の分泌が促進されれば、消化・吸収を助け、窒息死も防ぐことができます。
そして、なによりも、しっかり噛める人はそうでない人と比べると、健康で過ごせる時間(健康余命)が長いのです。
このように、「噛む」ということは体によい刺激を与えることであり、健康を保つ秘訣の1つであるともいえます。現代人は軟らかい食品を好み、あまり噛まずに飲み込んでしまう人が多いようですが、これを読んでいただいたみなさんには、この習慣がいかに残念なことかおわかりいただけたかと思います。
さあ、今日から!まずはひと口30回を目標によく噛むことを心掛けましょう。そして、左右の歯で均等に、ゆっくりと味わい、五感で楽しむ食べ方を身につけましょう。 もし左右の歯で均等に噛めないようであれば、歯の治療が必要ですよ! おいしいと感じながら食べることが、元気に生きるエネルギーになります。
みなさんが健康でいてくださることが、私たちの喜びであり、願いです☆☆☆
歯周病の治療はどのようにするのですか? PART3
前回は軽度の歯周病を治すために、スケーリング(クリーニング)のお話をしました。
今回は中程度の歯周病治療について説明します。
まず、中程度の歯周病になると、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間にできるすき間)が、5mm~7mmぐらいと深くなり、歯を支えている骨が、より溶けてきます。
それによって歯ぐきも出血したり、腫れることも増え、歯も以前より病的に動いてきます。
この場合は、ルート・プレーニング(ルートとは歯の根っこ、プレーニングは滑沢になめらかにすること)という治療法によって、歯ぐきの中に隠れている歯の根っこに付いた歯石や汚染物質、バイ菌を専用の器具によって除去していきます。
これによって歯の根っこはツルツルになるので、バイ菌が付きにくくなって、歯ぐきも引き締まり、歯を支えている骨もしっかりしてきます。
もちろん治療の後も、適切なブラッシングと定期的なスケーリング(クリーニング)によって、良い状態を維持できるよう、
あなたと一緒に大切な歯を守っていきましょう!
次回は、重度の歯周病治療 ○○○○編です。
有賀歯科医院 ニュースレター №3
2013.04.15発行
少しずつ暖かさが増し、春の訪れを感じるようになりましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか? この時期は色々な花が咲き始め、心も明るくなりますね!足取りも軽くなり、散歩に行こうかなと思う日が増えてくるでしょう。
一方で、花粉症の方にとっては少しつらい季節です。PM2.5や黄砂などもメディアをにぎわせていますね。正しい知識を身につけ、多すぎる情報の中から必要な情報だけを選び、自分の健康を守っていきましょう。
花粉症は食生活で軽減できる
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、アレルギー疾患の一種である花粉症。この疾患は年々増加傾向にありますが、これは食生活の欧米化でタンパク質や脂質の摂取量が増えたこと、加工食品に含まれる食品添加物、大気汚染などが深く関わっているとされています。
花粉症は薬を飲まなければ治らない!そう思っている方もいるかと思いますが、実は食生活の改善で、つらい症状を軽減することができるようです。バランスのとれた食事が基本ですが、免疫の働きを整え、アレルギー症状を防ぐ栄養素を積極的に取り入れてみましょう。
1. ビタミンB6 → 免疫の働きを正常に維持します。レバー、魚の赤身、ピーナッツなど
2. ビタミンC → アレルギー症状を抑えます。ブロッコリー・ピーマンなどの緑黄色野菜、レモン・イチゴなどの果物
3. タンパク質を摂りすぎない!!肉や卵の過剰な摂取は控えましょう。
他にも甜茶や緑茶、ヨーグルトなども症状を和らげてくれるようです。 効果には個人差があるようですが、ぜひ試してみてください。
口呼吸は怖い
花粉症や鼻炎などにより鼻がつまると、鼻で呼吸することが難しくなり、口で呼吸するようになります。
これを口呼吸といいます。鼻には空気中の細菌やウイルスが体内に入らないように防御する役割があります。鼻の粘膜には抗菌作用のある成分が含まれ、鼻毛などが細菌やウイルスを防ぐ網となります。
さらに、吸い込んだ空気に適度な湿り気を与える「優れた加湿器」としての機能もあります。
口呼吸になると、ウイルスが直接体内に入り込み、のどを痛めたり、風邪をひきやすくなります。また、いびきや不眠、注意力の低下なども口呼吸が一因だと言われています。また、口呼吸をすることによって口の中が乾燥すると、唾液によってバイ菌が洗い流されなくなったり、歯茎の抵抗力が落ちて、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。
さらに、義歯が安定しなかったり、舌に汚れが付きやすくなります。
口で呼吸するということは、こんなにも沢山の問題が生じてくるのです。
つまり、花粉症の症状を軽減させ、鼻で呼吸することは、歯やお口の中だけでなく、全身にとって大変意味のあることなのです。
⇒⇒⇒ 口呼吸を改善するコツ
- 意識して常に唇を閉じ、鼻呼吸を心掛ける。特に何かに熱中しているときが注意です。
- 口の周りの筋肉を強化するため「あいうべ体操」(下の図を参照)を行う。
- 口を閉じる筋肉を鍛えるため、食事の際は口を閉じ、1口30回両側で均等に噛む。
- 鼻呼吸を促すグッズを使用する。
福岡市の「みらいクリニック」院長、今井一彰さんが提唱している口の体操。口を大きく「あ~」「い~」「う~」「べ~」と、できるだけ大げさに動かす。声は小さめに。「あいうべ」が1セットで、1日最低30セットを行う。
あなたの身近にあったPM2.5
最近よくニュースで目にするようになったPM2.5ですが、これは微小粒子状物質とも呼ばれ、直径が2.5μm(=マイクロメートル、1ミリメートルの1000分の1)以下の超微粒子のことを指します。
このPM2.5は、今年1月に西日本で高い数値が観測されたことがキッカケで話題となり、中国での大気汚染が日本にも影響を与えていると考えられ、日本ではPM2.5を常時観測することになりました。
しかし、実はPM2.5はもっと身近なところに存在しています。それはタバコの副流煙です。
日本の環境省が出した基準値(※)は1日平均35μm、外出自粛を呼びかける値は70μmですが、自由に喫煙できる居酒屋のPM2.5の濃度は、空気1立方メートル(1m×1m×1mの箱を想像してください。)あたり568μm。完全分煙していない禁煙席でも365μmに達します。
ニュースでは屋外の大気汚染ばかりを問題として取り上げていますが、実際はたばこの煙の方が有害性が高いということを認識する必要があります。
PM2.5はとても細かい物質なので、気管を通過しやすく、肺など気道より奥に付着するため、ぜんそくや気管支炎、肺がんなどの呼吸器系への影響が引き起こされると考えられています。 また、循環器系への影響なども懸念されており、人体への影響はかなり大きいでしょう。
PM2.5を吸い込まないためには、マスクをつけたり、たばこの煙を吸ってしまうような場所を選ばないなど、各自で積極的に予防していくことが大切です。自分の健康は自分で守りましょうね!
※基準値とは、人が健康を保つために維持されることが望ましい値のこと。
歯周病の治療はどのようにするのですか? PART2
前回は「歯磨きにも歯周病の治療効果がある」ということをお話ししました。
歯磨きがひととおりできるようになったら、次は歯科衛生士が歯磨きだけではとれない歯石、着色、細菌を特殊な器具を使って、徹底的に除去していきます。それらを除去することによって、歯周病の原因となる細菌が急激に減少し、歯ぐきの炎症がかなり軽減します。
つまり、歯ぐきからの出血、歯ぐきの腫れもひいて、あなたの歯ぐきの色もピンク色に近づき、ツヤもよくなり歯ぐきが引き締まってきます。
このスケーリング(クリーニング)をあなたの全部の歯に対して施すとなると、やはりそれなりの時間がかかります。非常に固い歯石が歯にこびりついていたり、歯がぐらついている場合などは、その分大変な労力を要します。
ただ歯石を何カ月、何年も放置しておくと、歯石の凹凸した部分によけい歯周病菌が増殖してしまい、歯周病の症状がさらに進行してしまいます。
「自覚症状がなくても、歯を支えている骨が溶けてしまう」-これが歯周病の恐ろしいところ!
まずは、あなたが行うブラッシングと私たちが行うスケーリング(クリーニング)で、歯周病菌を退治しましょう!
歯周病が軽度であれば、ブラッシングとこのスケーリング(クリーニング)で、治療は一応終了となります。
あとは3カ月ごとの定期検診でチェックしていけば、かなり良い状態を維持できるでしょう!
次回は、さらに歯周病が進んだ場合の治療○○○・○○○○○○です。
有賀歯科医院 ニュースレター №2
2013.2.1発行
冬の寒さも厳しくなりましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
冬は特に、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症に注意しなければならない季節です。これらを予防するためには、うがい、手洗い、マスクの着用がとても効果的です。
また、これらの病気は歯と同様に、ストレスや疲労などで体が弱ると発症しやすくなります。栄養と休養を十分に取り、一日一日を健康に過ごしましょう!
知っておきたい感染症
○インフルエンザとは
のどの痛み、咳、鼻汁に加え、悪寒、倦怠感、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など、全身の症状が強いのが特徴です。これらの症状は2~3日続きますが、場合によっては1週間近くかかることもあります。さらに、乳幼児や高齢者では肺炎や脳炎などを合併することもあります。感染経路は感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことと、つり革やドアノブから手についたウイルスが口に入るなどです。インフルエンザには予防ワクチンがあるので、早めに接種して抗体をつくっておくことが効果的です。
○ノロウイルスによる感染性胃腸炎とは
下痢や吐き気、嘔吐、腹痛などの症状が1~2日続きます。発症しない場合や軽症ですむ場合もありますが、子供や高齢者は重症化しやすい傾向があります。感染経路は手や食べ物についたウイルスが口に入るだけでなく、感染者の汚物が乾燥してウイルスが空中に漂い、それを吸い込むことで感染することもあります。
予防ワクチンはないので、帰宅後や食事前、トイレの後は十分に手を洗いましょう。また、食品は十分に加熱し、調理器具を清潔に保ちましょう。
< 正しいうがい・手洗いの仕方 >
○うがいの仕方
小さめのコップに1/3程度の水(20ml~40ml)を口に含み、少し強めに15秒ぶくぶくと頬を動かしてゆすぎ、吐き出します。次に同量の水を口に含み、のどの奥まで水が届くようにアゴを上げて、15秒がらがらうがいをします。さらにもう一度15秒うがいをします。1日2~3回が目安ですが、帰宅後は特に念入りに行いましょう。冷たい風はのどや鼻の粘膜を乾燥させ、細菌やウイルスに感染しやすくなります。
○手洗いの仕方
手洗いでは爪の間や指のまた、親指のまわりに汚れが残りやすいです。まず手を水でよくぬらし、石鹸を手の平全体に広げます。しっかりと泡立てながら念入りに手の甲や手首まで洗い、水で十分に洗い流します。固形石鹸よりも液体石鹸の方が流れがよく効果的です。
☆マスクの使用
マスクをつけているとくしゃみや咳の飛沫を吸い込むことを防ぐことができます。さらに、のどや鼻の粘膜を保湿・保温してくれます。
粘膜の抵抗力を高めてくれるので、風邪の予防だけではなく、風邪を早く回復させてくれる可能性もあります。マスクはガーゼのものより不織布の方が織り目が細かく効果的です。
歯磨き粉のお話
●歯磨き粉の役割とは?
歯につく汚れには、大きく分けて2種類あります。ひとつは歯科疾患の原因となる歯垢(プラーク)。もうひとつは茶しぶなど食べ物に由来する着色汚れ(ステイン)です。
少し前までは歯磨き粉を使わないで磨くことを勧める歯科医院が多かったのですが、歯磨き粉は徐々に改良され、歯磨き粉を使うことで歯垢の除去率が高まったり、細菌の繁殖を抑制する効果が期待できるようになってきました。また、うっすらついた着色汚れを落とすことができるものもあります。
歯磨き粉は色々なメーカーから販売されており、虫歯を予防するもの、歯石の沈着を予防するもの、炎症を抑える効果のあるもの、知覚過敏を改善させるものなど、歯磨き粉によって入っている薬用成分が違います。よって、自分に合った歯磨き粉を選択すると良いでしょう。
●自分に合った歯磨き粉を選ぶには?
自分が虫歯を予防すべきか、歯周病を予防すべきかなど、歯磨き粉を使用する目的を考えてみましょう。子供の時は生えてきた歯を虫歯から守ることが大切ですし、思春期では歯肉炎になりやすくなります。また、成人すると歯周病予防に力を入れていかなければなりませんし、歯茎が下がって露出した歯の根は虫歯にもなりやすくなります。
このように、人には年齢ごとにライフステージがあります。そのライフステージに応じて歯磨きの目的・歯磨き粉に期待する効果は少しずつ違ってきます。
ちなみに、虫歯予防の場合は歯の質を強くするフッ素(フッ化ナトリウム・モノフルオロリン酸ナトリウム・フッ化第一スズ)の入った歯磨き粉、歯周病予防の場合は歯周病菌を抑制する成分(トラネキサム酸、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン等)の入った歯磨き粉を使うとよいでしょう。各成分は歯磨き粉本体の裏側に書いてあるので、確認してみてください。
●効果的な使い方は?
歯磨き粉には適切な量があり、効果的に使うには大体1センチほどといわれています。
沢山歯磨き粉をつけて磨くと、お口の中が泡でいっぱいになり、長く磨くことが難しくなります。また、研磨剤の含まれている歯磨き粉で長時間磨きすぎると、歯が削れる恐れもあります。できるだけ最初は歯磨き粉をつけずに一通り磨き、よくすすいでから、もう一度歯磨き粉をつけて磨くようにしましょう。最後にゆすぐお水の量は少なめにするとお口の中に薬用成分が残るので歯や歯茎に効果的とされています。
昔と違って今や歯磨き粉は単に汚れを落としやすくするだけではなく、お口の健康を維持してくれる便利なサポートアイテムです。皆さんもご自分の使っている歯磨き粉を見直してみてください。
歯周病の治療はどのようにするのですか? PART1
患者さんからよくこのような質問をいただきますので、今回から歯周病の治療について説明していきます。
歯周病の三大原因は
- 細菌、
- 不良な咬み合わせ、
- 食べ物、喫煙、ストレスなどの生活習慣です。
特に一番の原因となる細菌を取り除き、減少させることが歯周病治療の主目的となります。
まず歯周病の治療は、どんなときでもブラッシング指導からはいります。「え~、ブラッシングって予防するためのものじゃないの?」と思われるかもしれませんが、プラーク(歯垢)を歯ブラシで除去することにより、
「歯ぐきの腫れが減った」
「出血が少なくなった」ということが多々あります。
これはブラッシングでプラーク(歯垢)を除去することにより、歯周病菌が減少し、歯ぐきの炎症が軽減するからです。
もちろん歯ブラシだけでなく、場合によっては歯磨き粉、フロス、インタースペースブラシ、コンクールなどの抗菌剤なども併用することも必要でしょう。 ブラッシング法は、歯周病が軽度か中程度か重症かによって変わってきます。 つまり、歯ぐきの腫れ、出血や痛みがあるのか?歯ぐきの下の骨はどのくらい溶けているのか?歯ぐきのぐらつきはどの程度か?・・・などを総合的に見て、あなたに合ったブラッシング法を選択して説明していきます。
また、歯ぐきの状態が変われば、歯ブラシの種類やブラッシング法もそれに合わせて変えていきます。
ブラッシング⇒細菌の除去⇒お口の健康⇒全身の健康
です。
どうか、「またブラッシングか~。」と思わないで、正しい磨き方を身につけてください。
あなたの健康のためですから。
ブラッシングは毎日する一つの習慣です。
誤ったやり方がしみついてしまうと、なかなかその習慣を自分一人で直すのは大変です。
定期健診で正しい磨き方ができているかどうかチェックするのも重要なポイントとなるでしょう。
次回は、〈 歯周病の治療はどのようにするのか? PART2 〉 ○○○○○編です!
有賀歯科医院 ニュースレター №1
少しずつ涼しくなり、秋の陽気を感じるようになりましたが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?秋と言えば、読書の秋、芸術の秋、そして、なんと言っても食欲の秋です!歯が健康であると、食欲も湧き、美味しくご飯が食べられますよね!みなさんもお口の健康を維持し、秋の味覚を堪能してください。
さて、有賀歯科医院では、みなさんに少しでも健康でいてほしい、少しでも多く情報をお届けしたいという思いから、ニュースレターを始めました。年に数回のペースで発行していきますので、是非楽しみにしていてください。また、内容に関して分からないことやもっと知りたいことなどございましたら、遠慮なく当院スタッフにお声かけ下さい。
あなたのお口の中のバイ菌は活動中ですか?
私たちの口の中には約700種類の細菌がいて、歯垢(プラーク、バイオフィルム)1gあたり1000億個の細菌がいます。
もちろん、全部が悪い細菌ではなく、良い細菌も存在しています。でも悪い細菌(バイ菌)の攻撃に対してあなたの抵抗力、つまりは免疫力が低かったり、バイ菌の活動性が免疫力より強かったりすると、むし歯や歯周病が進んでしまいます。また悪い細菌(バイ菌)はむし歯や歯周病を引き起こしたりするだけでなく、肺炎を起こしたり、心臓病や脳梗塞、皮膚病の原因となったり、糖尿病などにも関わってきます。
当院でも初診の時に患者さんのお口の中の細菌を顕微鏡で拡大してお見せしていますが、どんな細菌がいるか調べることによりその患者さんに最も適した治療、予防方法の立案に役立てているのです。
また、最近では病院によっては「肺炎予防のために、お口の中をいつもきれいにしてください」とか、手術入院する前に「感染予防のためにお口の中をクリーニングしてきてください」ということを患者さんに あなたも適切なブラッシング、クリーニング、治療によって、全身の健康も一緒に守っていきましょう!
たばこについてもっと知りましょう!~ たばこの煙と健康障害
たばこの煙には“主流煙”と“副流煙”があります。“主流煙”とは「自分で喫煙した人が自分で吸引する煙」なので、本人だけに影響あるものです。一方、“副流煙”とは「たばこの点火部から立ち上る煙」で喫煙の意思のない人にも影響があるものです。
たばこの煙には4000種類以上の化学物質が含まれています。成分としては、ニコチンやタール、一酸化炭素などが知られていますが、この他にもダイオキシンや青酸ガス、ヒ素など、体にとって有害な発がん性物質や発がん促進物質が沢山含まれています。
主流煙に比べると副流煙に含まれる有害物質の濃度の方が高いことは知られていると思いますが、非喫煙者がこれらの煙を吸う事を“受動喫煙”と言います。受動喫煙による健康障害には、目や鼻、気管の粘膜刺激の他にニコチンの影響で皮膚の温度が低下したり、心筋梗塞の発作が引き起こされたり、肺癌になる確率も高くなります。歯科領域では歯茎が黒くなったり、口臭、味覚の低下が起こります。さらには歯周病やインプラント治療の結果にも悪影響を及ぼすことがわかっています。口腔癌にも注意が必要です。
現在は駅のホームや、道路、レストランで分煙する場所が増えてきました。しかしこれで安心でしょうか?たばこの煙に含まれる有害物質は、実は約20m先まで広がることがわかっています。また、喫煙者の呼気には多量の有害物質が含まれますが、この有害物質は、喫煙者がたばこを吸い終わってから約1時間の間、呼気と一緒に吐き出され続けるそうです。
たばこは自分にとっても周りの人にとっても有害であることに違いはありません。たばこを止めることは簡単なことではありませんが、止めることができれば、もっと健康で快適な生活が待っているはずです。
喫煙者の方には耳の痛い話で、不愉快な気持ちにさせてしまったかもしれません。でも、これはあなたとあなたの愛する周りの人たちのためです。自分のため。みんなのため。ぜひ努力をしてみてください!